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月刊JGAニュース

編集後記  

 今年の夏は、猛暑を通り越して酷暑である。連日メディアでも全世界的な異常気象の報道を目にする。
これらの背景として、地球における“環境破壊”が紛れもなく進んでいることを痛感せずにはいられない。
 そこで今回は、既に多くの方がご存知かもしれないが、『SDGs』について触れたい。SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取った言葉で、2015年9月の国連総会(国連加盟国193国)で採択された具体的行動指針である。すべての加盟国がSDGs達成に取り組むことが求められており、飢餓や貧困、気候変動の進行、生物多様性の劣化など、世界規模のさまざまな課題の解決を図るため、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)が設定されている。日本では、政府の基本方針として、下記が明記されている。

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 先月(2018年7月9日~18日)には、1,000人を超える各国政府、企業、市民社会のリーダーが米ニューヨークに集い、国連による「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が開催された。
年1回、各国の代表が持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた課題を話し合う場で、今回は「持続可能な消費と生産」が注目の議題であった。資源の無駄遣いや有害物の排出をなくそうと欧州が議論を主導する分野であるが、近年では日本企業の取り組みも活発化している。
 ハイレベル政治フォーラムはSDGsの17の目標別に進捗と課題を共有し、政治側から達成を支援する提言を発信する。2016年から開催され、17年は日本政府が国内の取り組みを発表した。
 今回の議題の一つであった目標12「持続可能な消費と生産」の中で特に関心が高かったのが廃棄プラスチック問題。細かなプラスチックゴミが魚や貝に蓄積され、海の生態系を壊していると国際社会が警戒を強めているようで、欧州連合(EU)は再利用できないプラスチックの規制を開始する。
 日本でも持続可能な消費と生産を議論する「エシカルサミット」(日本エシカル推進協議会主催)が、今年7月に都内で開幕されるなど、取組みは活発化している。環境、生産者の人権、地域社会に配慮して作られた商品の購入を「エシカル(倫理的)消費」と呼び、持続可能な消費と通じることから、企業の調達活動にも当てはまる。また、東京都の小池知事は、「エシカルを都政のキーワードにしたい」と決意表明している。

 日本においてジェネリック医薬品を使用する意義の一つに、国の医療費の適正化(社会保障制度維持への貢献)がある。しかし今、世界に目を向ければ、「国の社会保障制度の維持」のみならず、「地球全体の持続可能性」について緊迫した状況が迫っているのが実態である。ジェネリック医薬品産業として、今、未来のためにできることをさらに幅広く、一層真剣に模索していけるかどうか?産業としての真価が問われている。
 なお、SDGsは2030年までの社会的長期ベクトルであり、今後後退することはあり得ないと言われる。SDGsを戦略的に活用することは、企業経営にとっても事業革新の促進やブランド価値向上等の機会創出につながる“好機”となる可能性を秘めており、ぜひとも積極的に参画していきたい。


(S.S)

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(引用元:外務省サイト「JAPAN SDGs Action Platform」)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html

 

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