EN

月刊JGAニュース

編集後記  

 「国際化」は21世紀を生きる私たちにとって重要なキーワードとなっています。この「国際化」を「人権」という視点から考えてみたいと思います。
 まず皆さん、「企業において、国際的に認められた人権」とは何だと思われますか。国連には、ビジネスと人権に関する指導原則というものがあって、その原則12にはこんな言葉が記載されています。「人権を尊重する企業の責任は、国際的に認められた人権に拠っているが、それは、最低限、国際人権章典で表明されたもの及び労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関宣言で挙げられた基本的権利に関する原則と理解される」としています。言葉にすると難しいと感じられるかもしれませんが、要は『「世界人権宣言」と「ILO(International Labour Organization)の中核的労働基準」を守ることが重要ですよ』、と言っているのです。
 世界人権宣言は全30条の条文より構成されます。自由権、参政権、社会権、その他一般規定から成るのですが、世界では、差別の禁止は勿論、奴隷からの自由(4条)、拷問からの自由(5条)、迫害からの自由(14条)、こんなことが問題になっているのです。我が国における人権問題でイメージする内容と少し違うような印象を持たれるかもしれませんね。でも、世界では、こんなことを押さえておかなければいけない、ということを理解して頂ければと思います。 
 ILOの中核的労働基準とは、①結社の自由及び団体交渉権、②強制労働の禁止、③児童労働の実効的な廃止、④雇用及び職業における差別の排除の4つです。①の課題については、結社の自由や団体交渉権が認められていない国々があることから、その取扱いについては悩ましいことがある場合もあります。ただ、少なくとも、企業として積極的に加担することがないようにしないと、国際社会からの非難を受ける場合があることを心しなければなりません。
 2020年に東京でオリンピックが開催されます。東京オリンピックは我が国における人権・コンプライアンス意識を大きく変えることは間違いありません。
 皆さんも、新たな時代に即応した人権意識を持つためにも、その原点となる「世界人権宣言」と「ILOの中核的労働基準」を今一度読み直してみませんか。


(YI)

 

PDFでご覧になる方はこちら