医薬品製造における生産性向上への取組み
フロイント産業株式会社
国内の少子高齢化や人手不足、働き方改革への対応などの厳しい事業環境を乗り越えるため、生産性の高い設備へと一新させ、日本の労働生産性の飛躍的な向上を図る。そのような必要を掲げて、経済産業省から平成30年6月6日に「生産性向上特別措置法案」が施行されました。資本金が大きい日本ジェネリック製薬協会加盟会社の皆さまは、過半は法案適用から除外されますが、資本の大小に関係なく同様のお悩みを抱えていらっしゃることと拝察します。製薬工場での人手不足の解消、働き方改革を進めていくには、「生産性を向上する」、「製造を外注する」などの対策活動が主になります。他産業に比べて、製薬工場の生産性の向上が進まないのは、言わずもがな人々の命をあずかる特別な産業であり、それ故の高いハードルとなる制約条件があるからにほかなりません。GMP省令を遵守し、製造承認いただいた届出書の記載内容を逸脱しない範囲で改善、改良を進める。また、変更する場合は、相当の労力、時間、コストの負担を覚悟のうえで実施する。そのような中、近年、固形製剤の連続生産が注目されています。先の6月に開催されましたICH神戸会議でQ13にて採択された「連続生産」への取組みは、医薬品製造における上記のような課題克服の対策のひとつとして、規制当局側も効果を期待されています。そこで、弊社が取組んでいる連続生産システムの概要につきまして、ご紹介させていただきます。
【独創性豊かなフロイント産業の連続生産システム】
当社が展開中の「Granuformer(グラニュフォーマ)」は、従来のバッチ式から連続式へ生産方法を転換する革新的な装置です。医薬品製造に求められる“品質が管理された状態を保証する“連続生産の実現に向けて、PAT(Process Analytical Technology)を用いた当社独自のマイクロユニット方式による品質管理と自動制御機能を搭載しております。また、協力各社と連携し、「Granuformer」の前後に粉体の混合用設備を配置し、それらと打錠機を一体化させた統合管理型の錠剤の連続生産システムの提供も開始しました。このシステムは、原料粉末の投入から混合、造粒、整粒、乾燥、打錠までの全工程を連動し、自働化※しております。誰が操作しても均質で高品質な錠剤を連続して生産することを可能にしたフットプリントの小さな製造設備です。また、従来のバッチ生産方式とは異なり、研究設備と商用生産設備のプラットフォームを共通にしているので、設備のスケールアップが不要で、開発コストおよび技術移転コストの縮減と製品開発のスピードアップも図れます。商用生産においては、1台の設備システムで製造量を自在にコントロールできます。少量(数kg)から大量(∞)までの生産量に対応します。設備は、稼働確認が完了したら、ほぼ無人運転ができるように設計されています。
※「自働化」とは、トヨタ自動車の生産方式で使われている用語です。通常の自動化と区別されており、次の条件を満たさなければなりません。
1.正常時は、人の監視・関与が不要
2.異常時には、安全側で自動停止または縮退運転する
3.その後、警報などで人間の関与を求める
4.これらの一連の作動がシステム化されていて、正常動作時に人間が他の仕事を行える
さらに、当社では、次の2つの条件を付与し、自働化をさらに進化させております
5.重要品質特性が製造中に管理範囲から外れる予兆を検知して、逸脱品の発生がないように製造条件を自動でコントロールする
6.万一、逸脱品が発生しても製造ライン外へ精度よく、確実に排除する
当社の連続生産設備商品の概要をご紹介させていただきました。商品の詳細説明、デモ運転、設備見学(国内および米国)を随時、受けつけておりますので、ご遠慮なく、ご用命ください。フロイント産業は皆さまと未来の工場のあるべき姿を追求して参ります。今後ともご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。