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月刊JGAニュース

編集後記  

-バイオ医薬品(バイオシミラー含む)の動向は?-
 現在、2020 年 9 月までに後発医薬品の使用割合 80%に向けて、行政・医薬品業界・病院・薬局は推進していますが、バイオシミラー(BS: バイオ後続品)への変更率は思った様に伸びていない印象があり、現状はどうなのか調べてみました。
 バイオ医薬品とは、糖尿病、関節リュウマチなどの自己免疫、がんなど多くの領域で使用されています。同時に、医療の幅を広げたと思います。しかし、患者さんの医療費負担や国民医療費増加に繋がった現状もあります。
 2020 年にかけて多くのバイオ医薬品が次々と特許満了を迎え、潜在的バイオシミラー市場の急速な拡大が予測されています。
 政府は、2017 年 6 月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針 2017 において、「バイオ医薬品及び、バイオシミラーの研究開発支援方策等を拡充しつつ、バイオシミラーの医療費適正化効果額・金額シェアを公表するとともに、2020 年度末までにバイオシミラーの品目数倍増(成分数ベース)を目指す」とされています。
 国内のバイオ医薬品(バイオシミラーを含む)の製造技術や開発手法を担う人材は不足しており、また、バイオシミラーについては、その認知度も低く、医療関係者の間でもその位置付けについて議論があります。(厚生労働省:バイオ医薬品開発促進事業より)


バイオシミラーを浸透させるにはいくつかの課題がある様です。
(1)創薬の難しさ
 バイオシミラーの開発は、難易度が高く、化学合成品に比べ分子構造が複雑で先行バイオ医薬品との同等性 / 同質性を示すことが困難な様です(ジェリック医薬品と大きく異なる点です)。
(2)使用環境整備の必要性
 高額医療費の様な公費負担制度の中ではバイオシミラーの使用促進は難しいと考えられます。また、医療従事者への説明不足も課題と考えられています。他には、医療機関に対するインセンティブ不足 などが挙げられています。


 厚生労働省は、バイオ医薬品・バイオシミラー講習会を 9 月 15 日から開催しています。12 月~ 3月の予定では 8 会場にて医療関係者向けの講習会が計画されています。また、市民公開講座も 1 月に奈良県で予定されています。
 これらの講習会にて、バイオ医薬品やバイオシミラーの有効性・安全性等について医療関係者や一般市民の理解を深めることで、バイオシミラーの理解と普及に繋がることが期待されています。
 また、徐々に置き換えが進んでおり、想定数量を上回る需要になった製品や売り上げ予測の上振れが見込まれる製品などもあります。これらに共通しているのは、患者さんの経済的メリットが明確であることです。

 バイオシミラーへの置き換えにより、患者さん本人の経済的負担の軽減、国民医療費の抑制にもつながると考えます。今後は、新薬メーカーのバイオ版 AG の登場によりバイオシミラー市場の不透明性も想定されますが、安全で安価なバイオシミラーを安定供給することが重要であると感じました。


IF


(K.H)

 

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