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特別寄稿

令和元年度

大阪府後発医薬品安心使用促進事業について

~平成30年度モデル事業の府内全域展開~

大阪府健康医療部薬務課

 後発医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものとして、厚生労働省では平成25年4月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し、取組みを進めてきました。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)では、2020年9月末までに使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるように都道府県等に対しても取組みを進めるよう求めています。


 大阪府では、平成27年8月に医療関係者、保険者、学識経験者等からなる「大阪府後発医薬品安心使用促進のための協議会(以下、「協議会」という。)」を設置し、患者及び医療関係者が後発医薬品(以下「ジェネリック医薬品」という。)を安心して使用するための環境づくりを進めています。
 当ニュースの4月号にも府の取組みを掲載していただきましたが、今回はその続編としてお伝えいたします。

1. 平成30年度の取組み

 前回ニュースでも記載いたしましたが、平成30年度の取組みを再度ご紹介しますと、大阪府は、国から重点地域の一つとして指定を受け、国のモデル事業である「重点地域使用促進強化事業」を実施することとなりました。

 その委託要件に、1.問題点の調査・分析をし、2.モデル事業を行うことが求められており、昨年度は、今までとは違った視点での取組みを進めてきました。


 まず、事業を進める前に、大阪府のジェネリック医薬品の使用が進みにくい要因の中から課題を絞ることにしました。
 一つ目として、府では「薬局において、一度、ジェネリック医薬品を拒否した患者には、再度勧めることが少ない。」という課題があります。
 これは、初めて薬局に来られた患者に、ジェネリック医薬品を選択するかどうかを尋ねた際に、「先発医薬品でお願いします。」とおっしゃった場合には、次回以降、薬局に来られても、再度、ジェネリック医薬品を勧めることが少ないということです。


 二つ目は、患者にジェネリック医薬品を正しく理解していただくことです。ジェネリック医薬品の持つイメージがなんとなく不安だと回答する患者が少なくない中で、薬局で突然「先発かジェネリックか?」と問われても、正しい選択ができません。
 したがって、患者にジェネリック医薬品を正しく理解していただく工夫が必要であり、そのうえで、ご自分の考えでしっかり選択していただく必要があると考えました。
 この二つに絞った課題を解決するために、「適正使用」、「安心して使用」に力点をおき、特に「患者さんの視点に立った」、「患者に寄り添った」取組みを企画することに意識をし、「薬局における患者啓発と意識調査」、「地域におけるモデル事業」の二つの取組みを昨年度実施しました。

(1)薬局における患者の啓発と意識調査
 大阪府内の約350件の薬局において、ジェネリック医薬品を拒否した患者に、ジェネリック医薬品を正しく理解していただくため、説明用のパネルを用いて、薬剤師に説明していただきました。
 薬剤師からの説明を聞くだけでなく、視覚、目で見てわかるようなイラストを用い、品質編、経済編、製剤工夫の紹介編という風に、3つの種類のパネルを使用しました。

 このパネルを用いた説明の後、その患者の意識がどのように変わるのかを聞き取り調査しています。聞き取り調査の項目や説明用パネルの作成、調査結果の収集と分析、評価までを、大阪薬科大学社会薬学薬局管理学研究室 恩田光子 教授に実施していただきました。
 分析結果では、薬剤師からの丁寧な説明が患者のジェネリック医薬品に対する意識を変えることに有効であることが導きだされました。


(2)地域におけるモデル事業 ~薬局において患者に丁寧な説明~
 大阪府内の門真市、泉南地域(泉南市・阪南市・岬町)の2つの地区でモデル事業を行いました。
 薬局薬剤師が、調剤の現場で、「患者に丁寧な説明」をして、ジェネリック医薬品への変更を促し、「変更後は、患者に対して、1週間後に電話による、又は、次回来局時にフォローアップ」を行い、使用感を聞き取ることを実施しました。さらに、患者がジェネリック医薬品に変更したことを医師にしっかりフィードバックできるように、「お薬手帳を活用し、調剤したジェネリック医薬品名と、患者がそのジェネリック医薬品を選んだ理由も併せて記載」し、次回の診察時には医師にお薬手帳を見てもらうよう患者に説明しました。それぞれの地区では、地域の医師会、歯科医師会のご協力のもと三師会連携することで事業を進めてもらいました。
 門真市では約2ヶ月で130名、泉南地域では、約3ヵ月で473名の患者がジェネリック医薬品に変更することとなりました。また、フォローアップの結果、このまま飲み続けるといった回答が9割を超える結果でした。
 このことから、薬剤師の丁寧な説明とフォローアップが患者の意識を変え、安心してジェネリックを服用することにつながることがわかりました。
 それぞれの地区での薬価上の年間切り替え効果額を試算すると門真市で1,040万円、泉南地域で1,462万円となりました。

2. 令和元年度の取組み

 ジェネリック医薬品の使用を安心して進めるには、「薬剤師からの丁寧な説明が大切であること。」、それにより、「患者が、ジェネリック医薬品の正しい理解をもって、自分の考えで選択できること。」、そして、「ジェネリック医薬品に切り替えた後の服薬状況を薬剤師が確認することで、患者が安心してお薬を服用、使用できること。」が大事であることが昨年度に門真市と泉南地域で実施したモデル事業で検証できました。
 今年度は、この取組みを大阪府内全域に展開しているところです。

(1)薬事講習会の開催 ~大阪府薬剤師会と共催で実施~
 昨年度の取組みを広く府内の薬局薬剤師に周知するため、8月に薬事講習会を開催しました。講習会の講師には、前述しました1(1)患者の意識調査と啓発をご担当いただいた大阪薬科大学恩田教授、1(2)モデル事業に取組んでいただいた門真薬剤師会の沼田先生と泉南薬剤師会の梅田先生にお願いして、実際に取組みを行う際に工夫した点、良かった点や苦労した点をご紹介いただきました。
 会場は満席で、ご参加の薬剤師の皆様も熱心に聴講されていました。
 その時の様子と会場でとったアンケートの集計を掲載します。

(2)地域支部への伝達
 広く周知する講習会形式とは別に、府が府内57か所の薬剤師会支部を順次訪問し、支部勉強会の場をお借りして、薬剤師が患者に寄り添ってジェネリック医薬品の安心使用を進めていただきたいことを、薬局薬剤師に直接お伝しています。
 このように各支部を回らせていただくと、支部や地域ごとの取組みや悩みを教えていただいたり、府への要望等もざっくばらんに意見交換したりできるので、時間をかけてでもすべての支部を訪問したいと考えています。

3. まとめ

 今年度、モデル事業を府内全域に展開した効果は、事業実施期間に新たにジェネリックに切り替えた症例数を集計することで測っていきたいと考えています。更にその症例数から薬価の切り替え効果額を試算し、医療費適正化への貢献度も見ていきたいと考えています。
 今後も、ジェネリック医薬品の安心使用促進に努めてまいりますので、皆様方のご理解、ご協力をいただきますようよろしくお願いします。