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月刊JGAニュース

編集後記  

 年末を控えて今年を振り返ってみる。気候変動の影響か、例年にも増して自然災害が多かったように思われる。9月に上陸した台風15号は関東地方に上陸したものでは観測史上最強クラスといわれ、翌10月には19号が列島に大きな爪痕を残した。東京でも、例年の11月の降水量に匹敵する雨が、下旬の2日間で降ったとの報道があった。


 9月には米ニューヨークで国連気候行動サミットが行われたが、それに先立ち世界気象機関が発表した最新の報告によると、温室効果ガスの影響で、世界の平均気温が過去5年間で観測史上最も高くなるなど、地球温暖化の兆候やその影響が加速していると指摘している。また2014年から19年までの5年間の世界の平均気温が、観測史上最も高くなったため、同期間の海面上昇についても著しい加速が見られ、二酸化炭素排出量が過去最高になったことが要因としている。これに基づき世界気象機関は二酸化炭素削減のための対策が急務と指摘している。


 この国連気候行動サミットでは、気候変動に対して、無策の政府や政治家に対して声をあげたスウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんのスピーチが広く報道された。温暖化対策に対して本気で取り組まなければ私たちは許さない、と語気を強めたスピーチは非常に印象的だった。8歳で地球温暖化の話を聞き、その後、飛行機での移動をしないことや肉食を控える等、家族に対しても生活スタイルを大きく変えることを求めたという。


 また英ロックバンドのコールドプレイが、どうすれば自分たちのツアーが持続可能なだけでなく、環境に利益をもたらすものになるかを模索するとして、ワールドツアーを控えると、メディアインタビューで明かした。前回のアルバム発表時には世界5大陸で122公演を実施した彼らだが、飛行機での移動はもちろんのこと、機材の移動等で非常に多くの二酸化炭素を排出することから、動画配信を活用することなどで今回は移動を伴うツアーは実施しないという。


 温暖化に加えて、プラスチックごみによる海洋汚染など、環境に関する報道を目にすることが増えた一方、日本国内で生活し、あまり切迫感を感じることなく、利便性に重きを置いての生活スタイルを顧みることがない自分はこれ如何にと思う。環境の変化に対して適応していくことはこれからの社会を考える時に欠かせないこと、この機会に我が身を振り返り来る2020年はどのように生活していきたいかを考える年末年始としたい。

K.T.

 

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