年頭所感
新年明けましておめでとうございます。皆様には、平素より当協会の運営並びにジェネリック医薬品の使用促進に格別なご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
我が国では、急速な少子高齢化の進行が経済活動に大きな影響を及ぼすと想定されており、長期的に揺るぎない社会保障制度の構築に取り組むことが最重要事項となっています。そうした中、良質なジェネリック医薬品の安定供給を通じて、限られた医療資源の有効活用に寄与し、社会保障制度の持続性に貢献していくことは、ジェネリック業界の使命であると認識しております。
本年は「経済財政運営と改革の基本方針 2017」で示された「2020 年 9 月までに後発医薬品の使用割合を 80%」とする目標の期限を迎えます。昨年 9 月に行われた薬価調査では 76.7%、当協会の 2019 年度第 2 四半期(7 月 -9 月)の調査速報値では 76.9%となっており、目標達成まであと一歩というところまで来ております。私どもは、“安定供給”、“品質に対する信頼性の確保”、“情報提供”に万全を期し、業界一丸となって目標達成の要請に引き続き応えてまいりたいと存じます。
また、厚生労働省の重点地域使用促進強化事業等への協力を含め、ステークホルダーの方々と連携して、国民や医療関係者の皆様方のジェネリック医薬品に対する信頼と正しい理解が一層進むよう、広報活動はじめ諸活動に継続して取り組んでまいります。
元号が「平成」から「令和」になった昨年を振り返ると、販売情報提供活動ガイドラインの適用、消費増税に伴う薬価改定、薬機法の改正など、医薬品業界に影響を及ぼすさまざまな出来事があった 1年だと思います。令和となった 5 月には、中央社会保険医療協議会・薬価専門部会において「次期改定に向けた主な課題と今後の議論の進め方」が示され、約半年にわたる議論が行われました。意見陳述の機会には、私どもジェネリック医薬品業界としてこれまで行ってきた安定供給体制の強化、品質に対する信頼性の確保と適切な情報発信、ジェネリック医薬品のイノベーションの推進について述べるとともに、今後とも特許期間満了医薬品供給の社会インフラとして、ポスト 80% 時代にも安定供給を堅持し続けることで国民医療に貢献していく覚悟について述べました。その上で、後発医薬品の初収載薬価の維持の必要性や既収載後発品の価格帯の問題点等について訴えさせていただきました。ご検討の結果、「新規後発品の薬価算定については現在の取扱いを継続し、後発品の乖離率、安定供給への対応等を踏まえて引き続き検討することとする」とされるとともに、「改定前薬価が各価格帯の加重平均値を下回る品目については、それぞれの価格帯ごとに、該当する全ての品目を改めて加重平均し、これを当該品目の改定後薬価とする」など、価格帯集約の方法が見直されることとなりました。この結果は、ジェネリック医薬品業界に対しご理解をいただいた内容であり、私どもとしては見直される薬価制度のもとで、ジェネリック医薬品の安定供給を担う責務を果たしてまいります。
平成最後の月である 4 月には、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が適用され、10 月には経過措置とされていた販売情報提供活動の監督部門に関連する事項を含め全面的に適用されることとなりました。会員の皆様におかれましては、ガイドラインに則り製薬企業としての適切なプロモーション活動に引き続き取り組んでいただきたいと考えます。
また、昨年 11 月の臨時国会において医薬品医療機器等法の改正が可決され、12 月に公布されました。これにより、許可等業者・役員の責務の明確化、総括製造販売責任者の要件の明確化・例外規定の設定、添付文書の電子化、広告違反等の違法行為の抑止のための課徴金制度の創設など、医薬品に関係する多岐にわたる事項が定められましたので、私どもは今後これらに対応していくこととなります。会員各社におかれましては体制の整備など、対応いただきますようお願いいたします。
さて、業界内部に目を向けますと、昨年は”安定供給”に徹底して取り組むことを再確認しなければならない年であったと思います。安定供給に支障をきたした医薬品が一部にあり、国民の皆様にご迷惑をおかけいたしました。昨年 12 月に発生いたしました賛助会員企業の薬機法違反事例は、医薬品を供給する企業として決してあってはならないことです。会員各社におかれましては、日本製薬団体連合会で作成した自己点検のためのチェックリストを用いた点検を行い、原薬の安定調達に取り組む等、揺るぎない安定供給体制の構築に取り組んでいただくようお願い申し上げます。
また、昨年は会員企業による独占禁止法違反もありました。生命関連企業としてガバナンス・コンプライアンスの徹底を強くお願いしたいと思います。
一方、昨年度は新たな取り組みも始めました。医療関係者からのご要望に応えて、ジェネリック医薬品の原薬製造国の自主的公開を多くの会員各社でご対応いただきました(昨年末時点で 31 社が対応)。さらに、昨年 6 月 21 日の協会通知により同日以降承認されるジェネリック医薬品については共同開発情報をインタビューフォームに記載することとさせていただきました。これによりジェネリック医薬品の共同開発に関する情報を医療関係者の皆様にも把握していただけることになりました。これらはステークホルダーの方々からのご要請に応えるためのものですので、会員各社による積極的な取組みをお願いしたいと思います。
当協会は、昨年 9 月に「次世代産業ビジョン」を発表いたしました。このビジョンは、ポスト 80% 時代が到来する中で、これまで私どもが経験したことのない大きな変化に向け、我々が自ら変貌し成長を遂げていくための指針です。それらに取り組んだ先には明るい未来が待っているものと考えています。
しかしながら「ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント」という基本理念、 “揺るぎない安定供給体制”、“高度な品質管理体制”、“品質・安全性情報の提供”が土台となっていなければ、将来を見据えてのどのような取組みも意味をなさないものになってしまいます。
このように私どもには様々な課題がありますが、今年一年これらの課題に的確かつ迅速に対応し、ジェネリック医薬品業界全体の将来展望を明るいものにしていきたいと考えます。
本年も、皆様方のご支援ご協力のもと、また当局や関係団体のご指導をいただきながら、ジェネリック医薬品業界の発展に誠心誠意尽くしてまいる所存でございますので、引き続き、ご指導・ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
本年が皆様にとりまして、輝かしい一年となることを祈念し、年頭のご挨拶といたします。