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月刊JGAニュース

特別寄稿  

後発医薬品のさらなる使用促進

慶應義塾大学総合政策学部教授

医療経済研究機構副所長・研究部長

印南 一路

政策の経緯

 政府は、後発医薬品の使用促進が、患者負担を軽減し、薬剤費(医療費)の適正化を通じて医療保険財政の改善に資するとして、1990 年代から総合的な政策を展開してきた。この間、建前上は目立った反対論は展開されず、途中で大きな方針転換を迎えたこともない。その意味で、後発医薬品の使用促進は、利害関係者のほとんどが賛成している「稀有な」医療費適正化政策であるとも言える。
 一般的には、後発医薬品の使用促進は 2002 年の医師の後発医薬品処方に対する診療報酬上(処方箋料)の評価が嚆矢と理解されている。しかし、1990 年代前半から、後発医薬品の長期収載品と比較した薬価の引下げは始まっていた。長期収載品との間に価格差をつけて患者に選択してもらうという薬価政策に加え、2002 年以降は、医療機関に対する診療報酬制度上の評価を持続的に行ってきている。2006 年の診療報酬改定では、処方箋方式の変更が行われたが、これは行動経済学上のナッジの具体的な政策例として興味深い。2008 年改定では、療養担当規則の改定、後発医薬品調剤体制加算の導入が行われ、2010 年改定では後発医薬使用体制加算が新たに設けられ、これらの誘因は次第に精緻化されていった。
 これらと並行して、後発医薬品自体の信頼性を高めるための環境整備および後発医薬品メーカーの自助努力の促進を行うために、いくつかの政策が実施されている。「医薬品産業ビジョン」(2002 年)、「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」(2007 年)、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」(2013 年)の策定である。
 さらに、後発医薬品の使用促進については、経済財政諮問会議の果たしている役割が大きい。2005年の骨太方針にはじめて「後発医薬品市場の育成を図る」と明記され、2007 年の骨太方針では、数値目標(旧指標)が導入された。特に 2017 年の骨太方針で、「2020 年 9 月までに、後発医薬品の使用割合を 80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する」と明記したことの効果は大きく、2019 年 9 月段階で使用率は 76.7%に達し、2020 年 3 月時点では 9 月の目標達成の見込みは高いとみられていた。

目標値は達成できるか

 現下の状況では、後発医薬品使用促進政策に限らず、医療政策の多くがその内容や相対的重要性の評価において根本的な見直しを求められる可能性がある。が、後発医薬品の使用促進に関しては、その重要性は変わらないであろう。
 ただし、ここにきて若干の状況変化も生じている。まずは、新型コロナウィルスの問題拡大により、世界的な流通網の分断が生じたため、インド・中国からの原薬及び中間体確保が困難になっていることである。重要な政策課題ではあるが、この問題は先発品についても同様に生じているので、目標達成への影響は限定的とみるべきである。新型コロナウィルスの影響があるとすれば、今秋の目標達成に向けて追加的な努力をしようとしていた保険者が、対面活動の自粛を余儀なくされ、医療機関等への働きかけが十分できてないことかもしれない。
 より深刻なのは、一部後発医薬品メーカーによる最近の自主回収問題である。もともと後発医薬品の使用促進の障碍の一つとして、後発医薬品の品質や安定供給についての根強い不信感が、一部医療者・患者に存在することがあげられてきた。だからこそ、後発医薬品の信頼向上のための政策と企業努力が積み上げられてきたのであるが、自主回収問題はこの政策・努力に水を差すことになった。後発医薬品への切り替えをやめ、先発品に戻る動きも生じるだろう。後発医薬品の使用促進で最も利益を被る業界として猛省が必要であろう。80%の目標達成は厳しくなるかもしれない。

「伸びしろ」はあるか

 目標達成の可否の予想から、これ以上の使用促進が可能か否かに目を転じたい。まずは、そもそも後発医薬品の使用促進に「伸びしろ」があるか否かである。そして、現在一般的には普及していないが、今後有効な施策がないかどうかである。
 まず、患者については、医療経済研究機構で WEB 調査を行った。その結果、頑なに後発医薬品を拒否する患者は全体の 5%程度で、40%弱は医師や薬剤師の勧めがあれば、後発医薬品を使用する意向があること、先発品との差額を通知する制度の認識度は 23%と低く、未だ改善の余地があること等が判明している。医師・薬剤師の適切な勧奨があれば、患者サイドの行動変容の可能性はまだあると言える。ただし、高額療養費制度の対象者、未就学児・就学児医療費助成制度の対象者には、経済的誘因は効かない。
 ちなみに、後発医薬品の使用を忌避する理由としては、行動経済学・疫学・消費者行動論等にまたがる種々の仮説を作ることができる。残念ながら、どの仮説が最も強力かは検証できていないが、有力な仮説を上げることはできる。一つは、心理的会計仮説である。健康や医療には、他の消費財とは異なる財布を心理的に用意しているので、多少の高価格を許容するという説明で理解される。二つ目は、社会的評価仮説である。国が後発医薬品と先発医薬の同等性を保証しても、患者には両者の間の同等性を直接評価できない。いきおい価格によって、逆に品質を評価するという行動になる。つまり、低価格であるという後発医薬品の特徴がすべての場合や患者に訴求するわけではないのである。また、価格が十分安ければ後発医薬品を使用するという意向を示した患者について、どの程度の価格差が必要かを尋ねたころ、先発品の約 6 割程度であり、これは現在の価格水準と大して変わらない。つまり、これ以上価格を安くしても、かならずしも患者に訴求しない可能性があることを意味する。
 医療機関のうち、調剤薬局については、診療報酬による誘導が継続的に行われてきた。調剤薬局から見れば、後発医薬品調剤体制加算と、主に先発品使用で得られる薬価差益の大きさとの間で(その他在庫負担の問題もある)天秤にかけるのが経済合理的な行動である。診療報酬上の誘因は、実績ベースでの後発医薬品使用率に応じた体制加算水準を設けており、この部分については引き続き改善の余地がある。また、医薬品全体に対する後発医薬品の比率を示す「カットオフ値」については長い間変更されていない。このあたりも改善の余地がある。
 病院等は、医薬分業の有無で行動は分かれる。分業をしていない病院への誘因は厳しい。後発医薬品使用体制加算で得られる利益よりも、先発医薬品の薬価差益が大きいと判断している限り、診療報酬の誘因は機能しない。ただし、DPC 患者については、明らかに後発医薬品を使用する方が合理的であるが、実際の大学病院ごとの後発医薬品使用率の公開データを見ると、使用率は大きく分かれている。都内某大学病院の 45%を筆頭に、後発医薬品使用率がかなり低い病院がある一方で、95%に迫る勢いの大学病院も少なくない。逆に言えば、このリストのより明示的な公開によって、後発医薬品の使用率の低い病院については改善の余地があるとも言える。また、病院・調剤薬局に共通する促進策として、後発医薬品を含んだ地域フォーミュラリの作成・使用促進は有効な可能性がある。
 保険者については、後発医薬品メーカーと並んで、後発医薬品の使用促進に積極的なはずであるが、先発医薬品メーカーの健保組合、大都市の保険者、差額通知事業を行っていない国保保険者等を中心に後発医薬品の使用率が低い。ここも逆に言えば、より明示的な公表等によって改善の余地があるということになる。
 一方で、協会けんぽは追加的な支援事業行っており、それらの有効性も多変量解析で確かめられている。
 ここで鍵を握るのは、保険者協議会である。保険者には後発医薬品使用の直接的なメリットがあり、かつ、保険者は患者にも、地元三師会にも追加的な支援事業を通じて働きかけることができるからである。保険者努力支援制度等の一層の充実で、さらなる後発医薬品の使用割合を高めることが可能であろう。

問題点と今後の動き

 後発医薬品の使用割合は、これまでの持続的な政策努力によって順調に上昇し、さらなる使用率の向上も不可能ではないように見える。問題は、これらが数量ベースの目標数値に過ぎないことである。筆者の推計では、後発医薬品による置き換えの対象である長期収載品の薬剤費全体に占める金額割合自体が大きく減少してきており、後発医薬品への置き換えが進んでも、薬剤費全体に占める後発医薬品の金額ベースの割合は約1割強程度にすぎない。かといって、金額ベースの目標を設定すれば済む問題ではない。
 近時、薬剤費全体に占めるバイオ医薬品の比率が上昇してきており、その後続品であるバイオシミラーについては、それ自体が高額なため高額療養費制度の対象となるので、患者に対する経済的誘因は効かない。これまでバイオ医薬品は特には注目されてこなかったが、今後は目標設定や診療報酬の制度設計上特出しにするなどの工夫が必要である。後発医薬品の使用促進の本来の目的は、薬剤費・医療費の適正化にあり、その意味では薬価制度全体の中で政策を考える必要がある。また、今後増加が見込まれるバイオ先発品、バイオシミラーの低価格化と安定供給のためには、国内に共同工場を建設すること等の思い切った政策が必要かもしれない。新型コロナウィルスの感染拡大に伴って発生した原薬供給問題は、医薬品が国民の安全保障にも絡み得ることを示した。中長期的な視点で考えることが必要であろう。

 

注)本稿の内容については、医療経済研究機構報告書 (2020 近刊 ) に多くを依拠する。週刊社会保障6月20日号拙論時事評論もご参照。


福岡県におけるジェネリック医薬品使用促進のための取組み

福岡県保健医療介護部薬務課

1 ジェネリック医薬品を取り巻く福岡県の状況

○急速な少子高齢化が進む中、我が国の公的医療保険制度は様々な問題に直面しています。福岡県では県民1人当たりの医療費が全国平均に比べて高く、特に高齢者の医療費は平成14年度から全国第1位の状況が続いています。
○福岡県では平成19年8月に全国に先駆けて「福岡県ジェネリック医薬品使用促進協議会」※を設置し、医療現場、保険者、販売業者等からの貴重なご意見をいただきながらジェネリック医薬品を普及させるための課題と解決策を議論してきています。
○本県での取組みの特徴としては、ジェネリック医薬品に対する認知度の低さや不信感により普及が進んでいなかった平成19年当時、国よりも先にこの課題への取組みを開始し、課題を明確にするための的確な調査をした上で、ジェネリック医薬品を使用しやすい「環境整備」に徹した方策を行ってきたことが挙げられます。
○県民へのアンケート結果を踏まえて県民のジェネリック医薬品に対する認知度、理解度を上げるためのポスター、リーフレットや差額通知の送付等を実施してきました。また、医療関係者や卸売販売業者への調査を踏まえて、ジェネリック医薬品採用マニュアルをはじめとするジェネリック医薬品に関する情報提供をすることで医療関係者に対する普及啓発をしてきました。
○その結果、平成19年度のジェネリック医薬品普及率(旧指標(数量シェア))19.0%から、平成23年度は31.6%、平成24年度は32.6%となり、ジェネリック医薬品の使用促進に着実な進捗が見られ、第1期福岡県医療費適正化計画において平成24年度までに30%以上とした目標を達成しました。
 第2期福岡県医療費適正化計画においては、平成29年度までに40%以上にするという目標を設定していたところ、平成29年度には43.4%となり目標を達成しました。
○現在は、第3期福岡県医療費適正化計画において、令和5(2023)年度までに普及率(新指標(数量シェア))を80%以上にするという目標を設定しています。
※令和2年5月現在の福岡県ジェネリック医薬品使用促進協議会構成委員(()内は人数)
有識者(1)、県医師会(1)、県薬剤師会(1)、消費者代表(1)、医薬品製造・販売団体(3)、地域薬剤師会(3)、地域基幹病院(4)、保険者、審査支払機関(6)

2 福岡県ジェネリック医薬品使用促進協議会のこれまでの取り組みについて

(1)課題の明確化及び普及状況の調査
1. 県民に対する調査(県政モニターアンケート)
・ジェネリック医薬品を実際に使用する患者側の立場から、ジェネリック医薬品の認知度等を把握することを目的として、平成 19、22、24、26、28、30 年度に県政モニターアンケートを実施しました。(詳細は3(1))
2. 医療関係者に対する調査(医療関係者向け調査)
・平成 18 年度から平成 26 年度にかけて、病院、薬局にそれぞれ5回ずつジェネリック医薬品の採用状況及び採用に対する姿勢について調査を行いました。

3. 卸売販売業者に対する調査(流通実態調査)
・平成 19 年より、福岡県内のジェネリック医薬品の流通実態を把握するべく、卸売販売業者を対象に、医療機関及び保険薬局に販売されたジェネリック医薬品の流通実態についての調査を年2回実施しています。

調査対象   

 - 福岡県医薬品卸業協会(6社)   

 - 福岡県ジェネリック医薬品販社協会(7社)   

 - 直販メーカー等(2社)   

 - その他   

調査方法   

 厚生労働省の方法に準ずる   

 - 「ジェネリック医薬品のない先発医薬品(新薬)」、「ジェネリック医薬品のある先発医薬品」、「その他の医薬品(局方品、漢方エキス剤等)」、「ジェネリック医薬品」で区分(新指標での普及率を算出するため平成27年度調査より区分を変更)   

 - 数量:最小数量(1錠、1カプセル、1筒、1本等)を1単位として集計

(2)普及啓発
1. 県民向け
○ポスター、リーフレットの作成配布
・平成19年度に福岡県、( 公社 ) 福岡県医師会、( 公社 ) 福岡県薬剤師会の三者連名で県民向けポスター及びリーフレット作成し、医療機関、薬局等に配布しました。その後、平成21、24、26、28年度に内容を改訂しました。平成28年度作成の際には、ジェネリック医薬品の使用が保険医療財政の節約や優れた保険医療制度の次世代への継承に貢献できることを訴える、啓発効果の高いものとしました。

○差額通知
・平成21年度に、久留米市をモデル地区として薬剤費削減可能額通知事業を開始しました。
平成23年度からは、9市町(飯塚市、大野城市、春日市、嘉麻市、久留米市、太宰府市、筑紫野市、那珂川町、桂川町)及び福岡県後期高齢者医療広域連合に拡大し、現在は県内すべての市町村で実施されています。
○出前講座
・福岡県では、県の取り組みなどについて、県職員が県民に対して説明する「ふくおか県政出前講座」を実施しています。平成21年4月よりジェネリック医薬品についての講座もスタートし、現在まで延べ72回、2,148人に対して実施しています。
2.医療関係者向け
○福岡県ジェネリック医薬品採用マニュアル
・平成19年度に、医療機関、保険薬局におけるジェネリック医薬品の採用のポイントをまとめた「福岡県ジェネリック医薬品採用マニュアル」を作成し、県ホームページで公表するとともに、医療機関及び保険薬局に配布しました。
○福岡県基幹病院採用ジェネリック医薬品リスト
・県内の基幹病院において採用しているジェネリック医薬品のリスト「福岡県基幹病院採用ジェネリック医薬品リスト」を平成21年度より定期的に作成し、県ホームページで公表するとともに、医療機関及び保険薬局配布しています。令和元年度には医薬品のリストに加え、基幹病院における医薬品採用に関する重要度アンケートの結果を加えた資料も作成し、配布等行いました。(詳細は3(2))
○福岡県ジェネリック医薬品使用量上位品目リスト
・平成30年度に、レセプトデータから、医薬品の使用量を成分・規格・剤形ごとに集計し、県内の使用量上位100種類をまとめた「福岡県ジェネリック医薬品使用量上位品目リスト」を作成し、県ホームページで公表しました。
○福岡県ジェネリック医薬品ガイドブック
・令和元年度には、上記リスト等、ジェネリック医薬品への置き換えの際に参考になる情報を記載した「福岡県ジェネリック医薬品ガイドブック」を作成し、医療機関及び保険薬局に配布しました。(詳細は3(3))
○医療関係者向け研修
・平成20~24年度にかけて、病院、診療所、薬局に勤務する医療関係者への研修を実施しました。(詳細は3(4))

3 個別事業の詳細

(1)県政モニターアンケート(課題の明確化及び普及状況の調査(県民))
○県政モニターアンケートは県政モニターとして登録いただいた方を対象にアンケートをとるものであり、ジェネリック医薬品の関係では過去5回(平成 19、22、24、26、28、30 年度)実施しています。
○経時的変動の確認、診療報酬改定前後での変化の確認、新たな課題の掘り起こしを目的としてアンケートを実施しています。
○直近の平成 30 年度の結果について一部紹介します。

調査方法

 対象:福岡県 県政モニター(400 名)(平成 28 年度までは 300 名)

 調査方法:郵送又は電子申請フォーム

 調査期間: 平成 30 年 11 月 14 日~ 11 月 25 日   

結果

 361 名が回答(回答率 90.3%)

※平成 19、22、24、26、28 年度実施の調査結果を参考までに並記した。

 ただし、県政モニターの構成員が異なるので単純な比較はできない。

・「ジェネリック医薬品を知っていますか」という問いに対し、平成 19 年度は「よく知っている」、「大体知っている」で 63%でしたが認知度は年々向上しており、平成 28 年度には同 93%となりました

・「ジェネリック医薬品を処方されたことがありますか?」については、処方されたことがあると回答された方の割合が大幅に上昇しており、平成 30 年度には 83%になりました。

(2)福岡県基幹病院採用ジェネリック医薬品リスト(普及啓発(医療関係者))
○福岡県内のそれぞれの地域において中核病院として機能している本協議会のモデル病院の採用ジェネリック医薬品リストを公開し、他の病院がジェネリック医薬品を採用する際の参考としていただく目的で平成21年4月、平成24年11月、平成27年3月及び令和2年3月にモデル病院採用ジェネリック医薬品リスト作成し、県内の医療機関及び薬局へ配布をしてきました。令和2年3月には基幹病院における医薬品採用に関する重要度アンケートを併せて実施したので、その結果について一部紹介します。

調査方法 

 対象:福岡県内の基幹病院(19 病院)

 調査方法:メールにてアンケート票を送付して回収

 調査期間: 令和 2 年 3 月 4 日~ 3 月 12 日   

結果

 19 病院が回答(回答率 100%)

・ジェネリック医薬品メーカーに対して「重要」とすることの上位は、「メーカーにおいて、不良品などのトラブル発生時に適切な措置を講じることができる」が73.7%(14病院)、「メーカーからの情報提供が迅速である」が47.4%(9病院)、「メーカーのMRが年間を通じて定期的に訪問している」が15.8%(3病院)となりました。「重要」と「やや重要」を足し合わせた結果では、「メーカーにおいて、不良品などのトラブル発生時に適切な措置を講じることができる」と「メーカーからの情報提供が迅速である」が89.5%(17病院)、「メーカーのMRが年間を通じて定期的に訪問している」と「メーカーの知名度」が52.6%(10病院)で上位となっていました。

・ジェネリック医薬品に対して「重要」とすることの上位は、「品切れが発生していない(供給が安定している)」が89.5%(17病院)、「先発医薬品と適応症が同じである」が68.4%(13病院)、「医療事故防止に配慮された外観、名称、取り扱い性能がある」が52.6%(10病院)となりました。「重要」と「やや重要」を足し合わせた結果では、「品切れが発生していない(供給が安定している)」が94.7%(18病院)、「先発医薬品と適応症が同じである」が89.5%(17病院)、「患者が使用しやすい、服用しやすい工夫がされている」が84.2%(16病院)、「医療事故防止に配慮された外観、名称、取り扱い性能がある」が78.9%(15病院)、「原薬の調達箇所が複数ある」が73.7%(14病院)、「希望する包装単位がある」と「先発医薬品と外観(大きさ・色など)が似ている」が68.4%(13病院)、「医薬品情報(DI)が充実している」が52.6%(10病院)で半数を超える結果となりました。

・ジェネリック医薬品を採用する際に重視することについて、上位5位を選択してもらったところ、1位から5位までの合計が多かったのは、「品切れが発生していない(供給が安定している)」が73.7%(14病院)、「先発医薬品と適応症が同じである」が68.4%(13病院)、「自院での使用量が多い」が57.9%(11病院)となりました。いずれの項目もジェネリック医薬品に対して重視することやジェネリック医薬品の経済性で重視することにおいても上位となっていました。

(3)福岡県ジェネリック医薬品ガイドブック(普及啓発(医療関係者))
○令和元年度は、ジェネリック医薬品への置換えによる医療費適正化効果等の情報を提供し、医師や薬剤師にジェネリック医薬品への使用促進の意義・必要性を再認識していただくとともに、ジェネリック医薬品への置換えの際に参考となる情報を提供し、医師や薬剤師がジェネリック医薬品を処方(調剤)する際の一助となるように「福岡県ジェネリック医薬品ガイドブック」を作成し、県内の医療機関及び薬局へ配布しました。

 

<参考>福岡県ジェネリック医薬品ガイドブック

(4)医療関係者向け研修(普及啓発(医療関係者))
○県民のジェネリック医薬品への正しい理解と同様に、医師・薬剤師等医療関係者がジェネリック医薬品への理解を深めることも重要であるため、平成20年度から平成24年度まで、種々の医療従事者を対象に事業を実施しました。
(1)病院管理者向け研修(所属及び肩書については当時のもの。以下同じ。)
○病院におけるジェネリック医薬品採用の可否に大きな影響を持つ病院長、副院長、事務長向け研修を(社)福岡県医師会及び福岡県の主催で実施しました。講師として、藤原淳氏(中央社会保険医療協議会委員・(社)日本医師会常任理事)、増原慶壮氏(聖マリアンナ医科大学病院薬剤部長)を招き、最近の医療保険の動向や、実際の使用経験をもとにしたジェネリック医薬品の詳細について講演して頂きました。
(2)病院薬剤部長研修
○ジェネリック医薬品採用については、病院内で薬剤部が主体となって積極的に取り組むことが重要であるので、病院薬剤部長、薬剤師を対象とした研修を福岡県病院薬剤師会及び福岡県の主催で実施しました。基調講演には、講師として、有山良一氏(横浜市立大学附属病院薬剤部薬剤部長)を招き、横浜市立大学附属病院の先進事例に基づいたジェネリック医薬品普及の取り組みについて講演頂きました。また、その他の講演では、本協議会のモデル病院での取り組み等が紹介されました。

(3)薬局管理薬剤師研修
○保険薬局の管理薬剤師、薬剤師を対象とした研修会を福岡県主催、(社)福岡県薬剤師会後援で実施しました。基調講演には、講師として、小林郁夫氏(小林法律事務所/弁護士・薬剤師)を招き、薬剤師を取り巻く法律問題について講演頂きました。その他の講演では、医師の立場からジェネリック医薬品を見た際の所感、薬局での患者対応についても紹介されました。また、田宮憲一氏(厚生労働省保険局医療課課長補佐)には、ジェネリック医薬品の使用促進と薬局薬剤師への期待についても講演頂きました。
(4)地域での診療所、調剤薬局研修
○平成21年度からは、地域の医療を担う医療関係者向けの研修会について、地域の薬剤師会、病院薬剤師会と連携して実施しました。地域開催される医療関係者の研修会等に、積極的に出向き、ジェネリック医薬品への理解を深めることができるよう講演を行いました。平成23、24年度には地域協議会事業の中で、地域における薬局薬剤師等を対象として、ジェネリック医薬品への理解を深め、地域レベルでのジェネリック医薬品の使用促進に協力してもらうための研修を実施しました。

4今後の展開について

○令和元年度は県内全域を対象に事業を実施しましたが、今後は、人口が多く県平均に大きく影響する地区に重点をおいて取組を実施していく予定です。
※「福岡県ジェネリック医薬品ガイドブック」をはじめ、福岡県ジェネリック医薬品使用促進協議会で作成した参考資料は下記URLから入手可能です。
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/generic-sankoshiryo.html

 

<参考>現在配布している患者向けリーフレット(3つ折り)

 

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