EN

月刊JGAニュース

製造拠点の再編が活発化  

 ジェネリック医薬品業界で製造拠点の再編が活発化している。安定供給のための製造能力確保と利益確保のためのコストコントロール、これからのジェネリック医薬品事業の課題がそこには見えてくる。
 7月末、日医工が岐阜県高山市にある武田テバファーマの高山工場を武田テバの製品486品目とあわせて買収することを発表した。日医工はこれまで製造委託してきた製品の内製化を進め、粗利の改善を目指す。一方の武田テバファーマは3月にも滋賀県甲賀市にある武田テバ薬品の甲賀工場を大原薬品工業に譲渡しており、今後はオーソライズド・ジェネリック(AG)や特異な領域の製品に集中する。大原薬品は譲受した工場を固形製剤やAPIの製造施設として活用する方向だ。
 日本ジェネリックは2018年から茨城県つくば市のつくば第二工場が本格稼働し、19年3月、埼玉県春日部市の春日部工場をニプロファーマに譲渡した。そのニプロファーマは18年10月にマイラン製薬から埼玉県川越市の川越工場を、19年4月には田辺三菱製薬から岐阜県飛騨市の田辺製薬吉城工場を譲受し、積極的に製造能力を増強している。
 サンファーマは19年1月にポーラ・オルビスホールディングスからポーラファルマを買収し、ポーラファルマが保有する埼玉県内の製造工場2カ所も傘下に収めた。
 社会に広く浸透したジェネリック医薬品は、インフラとしての側面が強くなり安定供給の使命も一層重くなった。どんな状況に置かれても需要に応えるための製造能力確保は各社の事業の一丁目一番地といえる。人員や設備、ノウハウなどをゼロから取得する時間的経済的コストを考えれば、他の医薬品製造販売業者が保有していた工場を買収するメリットは大きい。
 同時に、製造拠点の再編はビジネスモデルの転換も意味する。政府による使用促進方針によって数量シェアを順調に伸ばしてきたが、ポスト80%はこれまでと同じような成長曲線は描けない。さらに薬価改定のプレッシャーもあり、安定供給の原則を守りながら利益を確保し続けるのは容易ではない。製造能力を上げて、利益率の高い製品や大量生産のスケールメリットが見込める製品などを自社で製造しつつ、自分たちでまかないきれないものは外部に製造を委託する。内製化と委託のコストコントロールにも努めなければ売り上げは伸ばせても利益を生み出せなくなっている。
 近年、製造能力を増強している各社が受託ビジネスの強化に取り組むのも業界全体の委受託需要増をにらんでの戦略だ。今後、利益確保のため業界内で各社ごとの役割分担や棲み分けは進んでいくものと思われる。そうした環境においては自社の利益と同時に業界全体の利益も考えていく必要がある。

 

PDFでご覧になる方はこちら