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月刊JGAニュース

「ジェネリック医薬品供給 ガイドライン」について  

 ジェネリック医薬品の役割は「医療の質を落とすことなく、患者負担を軽減し、限られた医療資源の有効活用に寄与し、保険医療財政の改善に貢献すること」とされ、少子高齢化が進む日本の皆保険制度を支えるために、その一翼を担っています。
 ジェネリック医薬品製造販売企業は国の目標であるジェネリック数量シェア80%達成のため、これまで増産を続けてきました。しかし昨今、中国の環境規制問題やCOVID-19感染拡大などによるサプライチェーンの寸断や品質管理の不徹底に起因した出荷停止に、自主回収問題などの事案が目立ってきており、ジェネリック医薬品に対する医療関係者からの信頼を失いかねない状況になっています。
 今回、改めてこれまでのジェネリック医薬品業界の安定供給への取り組み、「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」について紹介させていただくことで、GE薬協会員の皆様に安定供給の重要性について再度お考えいただく機会となればと思います。

医薬品業界のこれまでの安定供給への取り組み

 平成19年に策定された「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」において、安定供給に関わる指摘に対して、納品までの時間短縮、在庫の確保、注文先の一覧性の確保、全規格揃え、ジェネリック医薬品の数量シェア拡大への対応などに取り組んできました。GE薬協は「品切れ防止のための留意点」を作成し、会員企業に安定供給マニュアルの作成とその適切な運用を求めました。
 平成25年に策定された「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」では業界団体である日本製薬団体連合会が「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」を作成し、ジェネリック医薬品を製造販売する全ての製造販売業者は、本ガイドラインに準拠した「安定供給マニュアル」を作成・運用し、適切な需要予測に基づき原薬等を確保し、製造管理、品質管理を徹底し、医薬品企業として安定供給の責任を果たすことといたしました。

「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」

 「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」は、ジェネリック医薬品の安定供給を確保するため、製造販売業者が安定供給マニュアルを作成するための指針を示すものです。GE薬協会員の皆様におかれては、本ガイドラインに準拠した「安定供給マニュアル」を再度ご確認いただき、自社の安定供給に関わる体制と取組みが十分かどうか再確認いただければと思います。

www.fpmaj.gr.jp/documents/nyn136.pdf

(ガイドラインに記載されている主な内容)

  1. 序文

    1. 本ガイドライン制定の目的
    2. 本ガイドライン対象者
    3. 本ガイドラインの改訂
  2. 安定供給に寄与する組織・責任者について

    1. 組織・責任者
    2. 安定供給責任者の責務について
  3. 安定供給に寄与するための手順について

    1. 原薬の安定確保に関する手順について
    2. 在庫管理に関する手順について
    3. 生産管理に関する手順について
    4. 他社に製剤を製造委託する場合の手順について
    5. 配送に関する手順について
    6. 安定供給に関連する情報の収集、評価に関する手順について
    7. 安定供給に支障をきたすおそれがある案件発生時の対応に関する手順について
    8. 品切れ等発生時の対応に関する手順について
    9. 供給停止に関する手順について
    10. 記録に関する手順について
    11. 自己点検に関する手順について
    12. 制定改廃に関する手順について

医薬品の安定供給に関する最近の動き

 昨年、海外原薬が環境規制問題で供給停止したことにより起きた抗生物質の供給停止が問題となりました。昨今、医薬品の供給に関わる問題については「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」で定めている手順だけでは防ぐことのできない事案も出てきており、厚生労働省は「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を立ち上げ、医薬品の安定確保を図るための取組みとして、以下の検討・整理を行っています。

  • 安定確保に特に配慮を要する医薬品「安定確保医薬品」の選定
  • 供給不安を予防するための取組
  • 供給不安の兆候をいち早く捕捉し早期対応に繋げるための取組
  • 実際に供給不安に陥った際の対応について

安定供給は、基本的に企業が取り組むべき事項ですが、医療用医薬品の安定確保には国も関与していく必要があり、今回の取り纏めはそのことも踏まえた内容となっています。詳細につきましては、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(取りまとめ)資料」をご確認いただければと思います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13781.html

医療機関・薬局に対する欠品・出荷調整品に関する情報提供の徹底について

 2020 年 7 月 16 日に日本製薬団体連合会より「医療機関・薬局に対する欠品・出荷調整品に関する情報提供の徹底について」( 日薬連発第 500 号 ) が加盟団体に通達が出されました。この中に、欠品・出荷調整等に係る医薬品が発生してしまった際に医療関係者の皆様に 4 項目の情報提供をする事が求められておりますので、会員の皆様におかれましては、周知徹底をお願い申し上げます。

以上


表紙画像①_GE供給ガイドライン(確定版)_ページ_1.jpg

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