EN

月刊JGAニュース

成熟した企業になるために  

日新製薬株式会社

 明けましておめでとうございます。昨年は新型コロナに終始し、未だ終息が見えておりませんが、ウィズコロナの年を、節度を持って、かつ経済を回すよう過ごして参りたいと思います。
 さて、ドイツの社会学者テンニースが提唱した組織の概念分類に「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」というものがあります。
 ゲマインシャフト=共同体組織は、構成員一人ひとりのために存在する組織で、最小単位でとらえれば血縁組織があり、それ以外でも身近なところでは、町内会や自治会、PTA、宗教団体などがあります。こうした組織では構成員の満足感を高めることが重要なテーマとなります。
 一方、ゲゼルシャフト=機能体組織は、組織自体に目的があり、その目的を実現させるために人材やその他の資源を集め、役割分担や指揮命令系統の整備を行っています。従って組織利益のためには構成員の犠牲が生じる場合もあります。
 ゲマインシャフトは村社会、ゲゼルシャフトは都市社会というようなものです。村社会においては、隣人がどのような人かが相互に認知されており、同じ価値観を持つことが求められ、それから逸脱すると村八分のようなことが起こります。ゲゼルシャフトは都市社会ですから、隣人のことを知る必要がありません。様々な価値観を持った方々が、一定の枠内で活動していれば、大きく非難されることもありません。
 我々、ジェネリック医薬品企業も多くは創業から50年以上を経過し、成熟した企業になろうとしています。ジェネリック医薬品の使用促進を受け、急激に成長を遂げてしまい、従業員数も増えました。従業員数が100名以下だった頃は、ゲマインシャフトであったと思います。創業者や2代目経営者も、従業員を家族のように思い、価値観を一つにしてみんなで頑張ろうという意識を持っていたと思います。しかしながら、従業員が増えるにつれ、顔と名前が一致しない人たちが増えてきます。経営者が、如何に従業員のことを思い遣っているのかが伝わりませんし、従業員に自分の価値観を押し付けようとしても、従業員は経営者を理解しようとは思わなくなります。これが、組織構造の変化に伴うゲゼルシャフト化なのだと思います。ノミニケーションなどという言葉は、まさにゲマインシャフト時代の話になっています。
 我々は、自分たちの会社がもはやゲマインシャフトではないことを認識し、ゲゼルシャフトとして共通の目的を実現させるために、役割分担や指揮命令系統の整備を行っていくことが必要であることを認識しなければならないと思います。経営者が目指す品質方針や販売方針を従業員に対して常に明確に示して、その目的に沿った行動を取るための手段を構築させることが求められます。
 ゲマインシャフトの良さは、挙げればきりがありませんが、経営者や管理職が自分たちの部下に一方的に自分の価値観を押し付けては、ついてこなくなることを認識しなければなりません。ゲゼルシャフトは、組織のルールが定められ、逸脱者は処分を受けますが、処罰は隠蔽や誹謗中傷を生み、優秀な組織にはなりません。
 ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの良い面を融合させた集団形成を図ることが、安定供給や品質確保を推進する上で重要なのではないでしょうか。

 

PDFでご覧になる方はこちら