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ジェネリック業界はいまこそ自浄作用を発揮すべき!

株式会社ミクス ミクス編集部 デスク
望月 英梨

 「後発品も8割を占めるという時代を迎え、我々もこれは完全に量から質の問題へ転換が必要だと考えている。業界再編についても真剣に考えるべき時期にきたと捉えている」―。相次ぐ後発品企業の不祥事が議論となった3月24日の中医協で、林俊宏経済課長はこう述べた。小林化工、さらには業界最大手の日医工が業務停止を受けるなかで開かれた中医協では、診療・支払各側から厳しい指摘が相次いだ。深刻なのは、患者からのジェネリック不信が沸き上がっているとの指摘が相次いだ点だ。
 小林化工や日医工の承認書と異なる製造実態に端を発した問題は、すでにジェネリック業界全体の問題となっている。不祥事の根幹には、ガバナンスやコンプライアンスへの欠如が見えるが、ジェネリック業界としての姿勢も問われている。求められるのが、ジェネリック業界が自浄作用を発揮することだ。
 中医協が開かれた翌週、日本ジェネリック製薬協会(以下、GE薬協)は会見を開き、信頼回復に向けた取り組みの状況を公表した。「日医工や小林化工の問題は現実に起きた事実。ジェネリック医薬品の信頼はこれまでと違って大きく下がってしまった。“私たちは大丈夫です”と言っても信じていただけない状況になっている。私たちができることは愚直に、しっかりと再点検し、各社が品質を担保した製品以外は市場に流通させないことだ。それを実現させるために各社が、ジェネリックメーカーの矜持をもって取り組むしかないと考えている」―。澤井光郎会長は、こう決意を滲ませた。この日の会見では、チェックリストや手順書を用いた統一手法で再点検を各社に要請するなどの取り組みはあったものの、あくまで個社への呼びかけにとどまり、GE薬協独自の取り組みは限定的なものにとどまった。
 現段階では、“GE薬協加盟会社であれば安全性は大丈夫”と、患者や医療従事者が納得する取り組みかと言えば、踏み込みが甘いと言わざるを得ない。特に不祥事の根幹にあったガバナンスやコンプライアンスの問題については、相談窓口を設置するなどにとどまり、実効性に課題を残した。せめて会員会社による相互監視や第三者評価の導入を検討するくらいの提案があってもよかったのではないか。
 林経済課長は本誌インタビューに応じ、“自ら考え、行動する”ことの重要性を強調した。具体的には、「GMPやGQPは、その遵守状況を逐一行政がチェックすることが前提ではなく、まずは自社が徹底的に見直すことが大事。そのうえで、各社共通の課題を洗い出し、協会で独自のチェックポイントを示すなどができないか。団体自らが、各社の知恵を出し合って、どうしていくべきか考えなければ、自浄作用は機能しない」と話した。
 これまでジェネリック業界は、政策誘導によりシェアを伸ばしてきた。後発品80%目標達成に近づいたこのタイミングで、問題が露呈したことの重大性は業界全体で受け止める必要がある。ジェネリックは、先発品の特許切れ後、はじめてできる市場であるだけに、パイが限られる。この結果、実態として薬価差を武器とするような激しい競争があることも指摘されている。しかし、難局は業界一枚岩でなければ乗り切ることはできない。業界としてのガバナンスをいかに発揮すべきか、真剣に向き合う局面にきているのではないだろうか。
 特に、政策決定に携わる中医協委員や国会議員などのステークホルダーばかりでは不十分だ。これからは、真に患者や国民の目線を意識した業界活動への転換が最も重要になるだろう。


製薬業界に係る全体概要
~製薬業界及び当協会の理解促進のために~

日本ジェネリック製薬協会 広報委員会
 

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