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月刊JGAニュース

今だから『仁』を大切にしたい  

大蔵製薬株式会社

 年末に京都清水寺で発表される2020年の今年の漢字は「密」でした。半年が過ぎ、6月末には、京都を始め各地の神社で「夏越しの祓」が行われました。改めて、長引くコロナ禍や頻発する医薬品企業の不祥事等、どうしても暗くなりがちな今、あなたが思い浮かぶ漢字一文字を挙げなさいと言われたら、「忍」や「誠」等、いろいろな漢字が思い浮かびますが、私は『仁』という文字を挙げたいと思います。

 私がこの文字に関心を持ったのは、これまで三度あります。最初は「ひょっこりひょうたん島」に代表されるNHKの連続人形劇で、1973年~1975年に放映された「新八犬伝」の中です。「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」とそれぞれの文字が書かれた珠を持つ八犬士が、怨霊や妖怪を相手に戦いを繰り広げる物語で、江戸時代の読み本作家・曲亭馬琴(滝沢馬琴)の「南総里見八犬伝」を基に作成されたものです。当時は、こんな八つの文字があり、それぞれに意味があるのだなと思っていました。二度目は「JIN-仁-」という、脳外科医が江戸時代にタイムスリップしてしまうTVドラマです。この時は、「医は仁術なり」と関係あるのかな程度にしか思いませんでした。三度目が、今回NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で、ヒロインの百音が下宿先で毎朝唱える貞山政宗公遺訓の最初に、「仁に過ぐれば弱くなる」という一文が出てきた時です。この文の意味は、「人に思いやりや情けをかけ過ぎると、自分が(相手も)弱くなる。」という意味だそうです。しかし、私は今の時代、この「仁」が足りていない、いや、過ぎても問題ないのではないかと思ったのです。

 そこで『仁』という文字を検索してみると、今のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、渋沢栄一の著作「論語と算盤」にも出てくる論語の中の言葉で、前出の八文字の漢字「八徳」(正確には信までの7文字で、悌は後から加えられたそうです)、リーダーが実践すべきことの中で最も上位の文字で、以下のような意味があるのだそうです。

仁:儒教における最高徳目で、他人と親しみ、思いやりの心をもって共生を実現しようとすること。
  思いやり。慈しみ。情(なさけ)。

 今、新規感染者数は減ってきてはいるものの長く続いている新型コロナウイルス感染症、それに伴い何度も発出・延長が繰り返される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で、自分の気持ちも重々しく、他人との関係もギクシャクしがちです。また、関連してネットでは見えない他人を某名で誹謗中傷する状況が続いています。これらのことは、相手のことを『思いやれ』ば、自分も他人も暮らしやすくなるはずだと思うのです。医薬品製造業者の不祥事も、今、自分が造っている、携わっているクスリを飲む患者様のことを『思いやれ』ば、当然防げたことなのです。私は、「仁はヒトのためならず。」と思っています。人を『思いやる』ことは巡り巡って自分のところに還ってくるのです。つまり、自分自身のためなのです。こんな時だからこそ、「汚してしまった洗面台は、次に使う人のために少し拭いておく」といった簡単なことで良いので、自分のできる範囲で実践し、『-仁-思いやり』を大切に暮らしていきたいと考えている今日この頃です。

注:ネットで見つけた文書を一部借用しております。意図した盗用ではありませんのでご容赦ください。

 

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