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月刊JGAニュース

澁谷工業株式会社  

 当社はプレフィルドシリンジやバイアル・アンプルの注射剤、点眼剤や輸液バッグ剤などの液剤や無菌粉末における調製から充填包装の自動製造システムをはじめ、無菌操作空間を維持するアイソレータ、過酸化水素や電子線(EB)による除染システムなど、最先端の製薬設備システムを設計・製造し、国内外の製薬会社や再生医療研究施設へ納入させて頂いている設備メーカーです。

 新型コロナウイルスとの戦いの中、エッセンシャルである医薬品業界において生産現場では多岐にわたる難局に直面したと伺っております。例えば作業員あるいはご家族に Covid-19 陽性や発熱が確認され、生産継続のため人員配置の見直しを迫られるなどフレキシブルな現場力を試され、さらに多品目で且つ大量生産を求められるジェネリック医薬品においてはその難度は計り知れないものと存じます。設備のメンテナンスを通して現場の皆様と活動する私共システムサプライヤーの視点では、設備の性能向上や安定稼働の重要性を改めて認識した次第ですが、多様化する現場作業や品質管理をシステムでサポートする「スマートファクトリー」「情報の見える化」「システム化」のニーズが一段と高まり、設備と連動した情報システム化が不可欠な時代の到来を肌で感じております。


 本稿では当社の IT システム部門が現場ニーズを元に開発し、国内外のユーザー様から高い評価を頂いております「生産管理システム」や「SOP 支援ソフトウェア」などデータ処理関連システムのご紹介をさせて頂きます。

<プロダクション管理システム PMS for Pharma>
 医薬品製造の一連の工程において、生産計画に基づく情報を製造設備までシームレスに展開します。CSV の提供、Data Integrity 要件も満たし工夫をしたシステムになっています。当社が出荷する製造設備はもとより既存ラインの周辺設備でも採用されております。

<作業記録管理・運用システム fun-SOP ®  (ファンソップ)>
 医薬品工場においては、一部の工程のなかには自動化が進んでおらず、作業者が製造に深く関わりつつ、品質に大きく影響している製造現場も存在していると思います。

 作業者についても設備と同等レベルの記録が取得できれば、全体を通して「見える化」が完成し、品質の確認も容易になるのではないかと考えました。そこで、タブレットのハンディモバイル機器を入力端末にした作業管理記録・運用システム fun-SOP ®  を開発し、医薬品の商業生産や治験製造など多様化するSOP をデジタル化し国内外でご愛顧を頂いております。

<ビッグデータを活用した予兆検出>
 安定供給と高品質に加え低コストの実現を求められるジェネリック医薬品における製造システムの在り方は、時代とともにこれからも変化していくものと考えております。

 当社では現在「稼動分析」と「予兆保全」のシステム開発に取り組んでおります。AI 機械学習を用い、これまでオペレータの改善活動などで挙げていた予防保全の成果を、半ば自動的に導きだし設備停止による機会損失を最小限に抑えようとするものであります。

 このたびの災禍によって、企業活動や業務手順の見直しや DX 化の検討はより身近なものとなってきた印象ですが、本稿が「生産設備のシステムの在り方」を検討される際のご参考となり、業界の皆様のお役に立てることに繋がりましたら幸いでございます。

 私達は、創業以来「喜んで働く」ことを経営理念とし、医薬品をはじめ食品・飲料・化粧品・医療機器・再生医療などライフサイエンス分野で培われた技術の応用展開によって新たなイノベーション開発に挑戦し、会社の発展とともに社会に貢献することを目指しております。今後とも医薬品業界の更なる発展と人類の健康を心より祈念申し上げます。

 

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