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月刊JGAニュース

年頭所感  

日本ジェネリック製薬協会
会長 澤井 光郎
 2022 年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 皆様には、日頃から当協会の運営にご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 
 一昨年来、協会会員会社による違法行為が相次いで発覚し、協会は 2月に小林化工株式会社には除名、 3 月に日医工株式会社には正会員の資格停止(5年間)、10 月に長生堂製薬株式会社には正会員の資格 停止(5年間)と、それぞれに重い措置を講じました。
 医薬品、とりわけジェネリック医薬品の信頼を著しく失墜させた会員会社の違法行為は誠に遺憾であり、協会会長としてこのことを大変重く受け止めております。
 そして、これらの会社が業務停止命令を受けたことなどによって、各社が供給している製品の代替となるジェネリック医薬品の需要が増え、その他の会社の多くの製品が出荷調整となる事態となっています。
 これに対して、会員会社におかれましては、保有在庫の切り崩し、操業時間の延長、生産効率の向上など、可能な限りの対応を行っていただいてはおりますが、供給不安解消の見通しはまだ見えない状況です。

 国民が服用している医薬品の多くがジェネリック医薬品となっている中で、医薬品に対して当然求められる品質確保と安定供給が十分に達成されていないというこの現状は、我々ジェネリック業界にとって大きな課題です。
 昨年 7 月の「経済財政運営と改革の基本方針 2021」(骨太方針2021)には、「後発医薬品の品質及 び安定供給の信頼性の確保」という 20年前に戻ったような記述がなされています。また、昨年 9 月発表の厚生労働省の「医薬品産業ビジョン2021」には、医薬品産業政策が目指すビジョンの実現を図るための3つの焦点の一つに「後発医薬品」が掲げられています。このことに私たちはしっかりと向き合う必要があります。

 協会として昨年 10月に発表した「ジェネリック医薬品の信頼回復に向けた取組みについて~小林化工・日医工事案等の検証を踏まえて~」の中でもお示ししたように、「ジェネリック医薬品企業は単なる製造企業ではなく、人々(患者様)の生命に直結し、保健衛生の向上に寄与する生命関連産業の一員である」、「品質が担保され、「有効」で「安全」な医薬品を市場に安定的に供給すること、患者様及び医療関係者の皆様方に「安心」して使用いただける医薬品を供給することが、私たちの社会における存在意義である」、このことを私たちは再認識しなければなりません。

 一昨年来の協会会員会社の違法行為は、経営者の関連法令を遵守する意識の欠如、不健全な企業文化、長年にわたる組織体制の不備の黙認など、コンプライアンス・ガバナンス体制の欠如によって発生しています。協会では、会員各社に対して、経営者自らが法令を厳格に遵守する宣言をし、それを対外公表することを要請しましたが、さらに会員会社のコンプライアンスの遵守・徹底状況を客観的に評価するしくみの検討などを進めてまいります。
 ジェネリック医薬品に対する信頼回復に向けた取り組み全体としては、引き続き①コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化、②品質を最優先する体制の強化、③安定確保への取組み、④積極的な情報の提供と開示などを進めてまいります。そして、これらの取組みを通じて、患者様及び医療関係者に「安心」してご使用いただける品質の担保されたジェネリック医薬品のみが安定的に市場に流通する状況を実現してまいりたいと思います。

 現在、我々はかつてないほど多くの重い課題を抱えていますが、その一つ一つに確実に対応することで、ジェネリック医薬品とジェネリック医薬品業界全体の信頼を回復させ、自ら将来の展望を切り開いていきたいと思います。
 本年も、皆様方のご支援ご協力のもと、また当局や関係団体のご指導をいただきながら、ジェネリック医薬品業界の発展に誠心誠意尽くしてまいります。

 引き続き、協会の運営にご支援ご協力、何卒、よろしくお願い申し上げます。
 

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