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ジェネリック医薬品の価値再考を

株式会社ミクス
ミクス編集部 デスク 望月 英梨

 ジェネリック医薬品をめぐるビジネス環境の変化が著しい。相次ぐ行政処分に揺らぐジェネリック業界だが、医薬品原材料・資材等の価格高騰や為替変動によるビジネス環境の変化や、毎年薬価改定の導入など、環境は厳しさを増している。いまやジェネリックが医薬品の50%以上を占めるなかで、医療のインフラとしての機能の必要性は増している。これまで価格が一番の長所でもあり、価値でもあったジェネリック。しかし、価格にばかり頼るビジネスモデルは限界にきている。ジェネリック医薬品の価値を見つめ直し、ビジネスを再構築する必要がある。

 「ビジネスモデルについてみると、これまでは、国の使用促進策もあり、後発医薬品市場全体として、先発品からの置き換え効果による量的市場拡大が見込まれ、それを原資として価格競争を行っても一定量の売上を確保できることから一定の質を保つことができた」-。昨年9月に厚労省が策定した「医薬品産業ビジョン2021」にはこれまでのジェネリックのビジネスモデルについてこう記載されている。ジェネリックの使用浸透が進むなかで、相次ぐ品質問題や、供給不安は、医療従事者や患者、国民を落胆させた。

 「GE薬協も業界も、前向きな動きをしているのはわかっているが、何か起こるというリスクは存在する。ショックはショックのままでいる」――。自民党の議員連盟「ジェネリック医薬品の将来を考える会」の上川陽子会長は6月8日の会合で、ジェネリックメーカー幹部の前で、相次ぐ不祥事といまだ供給不安が残る現状に対し、ジェネリック業界・メーカーの姿勢に苦言を呈した。議連発足当時のジェネリックを成長産業にするという決意を口にした上川会長は、ジェネリックメーカーの行政処分を「スタートの部分が崩れ落ちるくらいのショックだった」と振り返った。この日の議連では、GE薬協の取り組みなどをヒアリングしたが、行政処分が続く状況について語ったのが、「ショックはショックのまま」という言葉だ。ジェネリック業界は、まずはこうした言葉にさらに真摯に向き合う必要がある。

 そのうえで、考えなければならないのは今後のビジネスの継続性だ。「企業再編を考えないといけない時期が来る可能性が高い」。東和薬品の吉田逸郎代表取締役社長は決算会見で、こう言及した。

 ここにきて、ジェネリックを取り巻く環境変化は大きくなっている。相次ぐ供給不安に加え、毎年薬価改定が導入された。さらには、原価率上昇の影響を大きく受けるジェネリックビジネスだが、毎年薬価改定の導入、世界経済情勢によるインフレ率の上昇やそれに伴う、価格高騰、為替変動による経済的要因など、懸念すべき要因は多い。毎年薬価改定が導入されるなかで、23年度薬価改定の議論も間近に迫る。価格上昇圧力の強まるなかで、安定供給に必要な薬価のあり方については当然、議論に参画すべきだろう。
一方で、前述したような信頼失墜のさなかにあるなかで、業界としては品質や安定供給に向けた態度を表明することも必要だ。さらに言えば、現行のビジネスから安定供給を維持したうえで、いかに次のビジネスモデルへと移行するかも大きな課題と言えるだろう。そのためには、価格以外の新たな価値を自らで見つけ出していくことが必要だ。ジェネリックメーカーに残された時間は多くはない。今こそ、市場から問われている、「ジェネリック医薬品の価値とは何か?」との問いに答えを出す必要がある。

 


骨太の方針2022について

日本ジェネリック製薬協会 総務委員会
委員長 黒川 康幸

 6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針2022新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太の方針2022)が閣議決定された。
● 我が国を取り巻く環境変化(新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵略、気候変動問題等)や国内における構造的課題(輸入資源価格の高騰、人口減少・少子高齢化、潜在成長率の停滞、災害の頻発化・激甚化等)など、内外の難局が同時かつ複合的に押し寄せている。
● 新しい資本主義に向けた重点分野として、人への投資と配分、科学技術・イノベーション、スタートアップ、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資。
● 経済安全保障の強化として、医薬品等を始めとする重要な物資について、供給途絶リスクを将来も見据えて分析し、物資の特性に応じて、基金等の枠組みも含め、金融支援や助成などの必要な支援措置を整備することで、政府として安定供給を早急に確保する。
● 医療費適正化計画の在り方の見直しや都道府県のガバナンスの強化など関連する医療保険制度等の改革を進める。
● 経済安全保障や「医薬品産業ビジョン2021」等の観点も踏まえ、医薬品の品質・安定供給の確保とともに創薬力を強化し、様々な手段を講じて科学技術力の向上とイノベーションを実現する。医薬品産業政策の取組を継続していく観点からKPIの重要性について言及しており、創薬力の強化等に向け、KPIを設定し、取り組みを進める。
● OTC医薬品・OTC検査薬の拡大に向けた検討等によるセルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上に取り組む。
● バイオシミラーについて、医療費適正化効果を踏まえた目標値を今年度中に設定し、着実に推進する。
  今回は特に薬価やジェネリック医薬品に対しての記載はなかった。
 骨太の方針でも示されているように内外の難局が同時かつ複合的に押し寄せており、医薬品産業は経済安全保障の観点からも大きな責務を負っているが、2020年末以降に複数の会員企業による品質や製造管理に係る不適正な事案が発生し、現在も多くの品目で供給不安が生じている。
 ジェネリック医薬品の信頼回復に向けて、会員会社・業界が一丸となって「信頼回復に向けた取り組み」を進め、コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化、品質確保と安定供給の取り組みを継続、しっかり情報開示をして医療の質の向上に貢献し続けなければならない。

【参考】
本文:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja
概要:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/summary_ja.pdf

 

 

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