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月刊JGAニュース

医薬品供給情報システム構築に向け、医政局が再チャレンジ  

株式会社じほう
日刊薬業編集部 大塚 達也 氏

 厚生労働省医政局は2023年度予算概算要求に、医薬品の供給状況を把握するシステム作りを見据えた費用1億3600万円をデジタル庁計上分として盛り込んだ。

 欧米では、医薬品の供給状況報告が義務化されており、主に政府がそれらの情報をウェブサイトで公開している。一方、国内ではそうした制度や仕組みはない。日本ジェネリック製薬協会の会員会社の供給状況については、協会のサイトでまとめて閲覧できるようになっているが、基本的には製薬各社がそれぞれ自主的に医療機関や薬局、医薬品卸などへ案内を出しており、「供給状況のわかりにくさ」が供給不安問題解決に向けた課題の1つとなっている。

 医政局は昨年の2022年度概算要求でも「、医療用医薬品の供給に関する情報提供サイト等の検討事業」として4700万円を計上。海外の情報提供サイトの掲載スキームなどの調査を行いながら、供給状況を一元的に把握できる情報提供サイトのシステム構築を検討し、課題解決に向けて動こうとした。ただ、同事業については他の優先度の高い事業との兼ね合いから予算が認められず、先送りの形となっていた。

 今年は「感染症対策物資等の供給情報把握に向けた調査研究事業」として、新型コロナウイルス感染症まん延で浮上した課題への対応という名目が掲げられた。感染症がまん延し、予防や治療に必要な医薬品や医療機器などの需要が高まる中でも、確実に供給が確保されるようにするため、平時からモニタリングを強化し、製薬企業や医薬品卸の供給状況を円滑に把握できる環境を整備することが必要と主張。供給状況の把握や情報提供が可能な仕組みを構築するべく、製薬企業や医薬品卸から報告された生産量や在庫などの情報を効果的に活用する仕組みを検討・検証する。

 医政局はこれら概算要求の事業と並行して、供給状況報告の法制化も進めており、法的枠組みの整備とセットでシステムを円滑に運用できる体制が完成する。

 医薬品の供給不足問題に対して、製薬各社は可能な範囲で増産対応を取ったり、承認書と製造実態の相違を解消して通常の生産体制に戻せるよう取り組んだりしている。残念ながら、一連の問題が収束するまでには、まだ数年はかかるとみられる。もっとも、十分な出荷量が確保できるようになり、かつその供給情報も把握しやすくなれば、結果的には、より利便性が高く、より強固な社会インフラが再構築されることになるとも言えるだろう。

 

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