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月刊JGAニュース

ヘラブナ釣り  

 風光明媚な湖沼や近所の公園で、カラフルなパラソルを広げ、釣りをしているオジサン達を見たことはありませんか?注意深く観察すると、彼らはわざわざアルミ製の釣台を設置し、行商人のような四角いバックを背に、洗面器に左手を突っ込み、右手に竿を持って胡坐をかいています。
 今でこそ、「ブラックバスだ。トラウトだ。」などと、若い人が湖沼を駆けずり回っていますが、彼らこそキャッチ・アンド・リリースの元祖、日本で初めてのゲームフィッシャー、「ヘラブナ釣り師」なのです。
 ヘラブナは戦中・戦後の蛋白源として、ゲンゴロウ鮒を大型になるように品種改良したものです。この魚は水中の植物性プランクトンを吸い込み、エラで濾したものを主食にしています。そのせいで、釣るのが難しく、ゲームフィッシュとしても全国に広がりました。
 魚とのコミュニケーションは細長く沢山の目盛りがついた「ヘラウキ」で行います。餌は水中でプランクトンが舞っているように、お麩の粉末で練り餌をつくり、返しのない針につけて水中に落とします。
 最初は何の反応もなく、餌の重みでウキの目盛りがゆっくりと沈み、餌が水中で煙幕のように広がると、餌落ち目盛りまでゆっくりと上がってきます。やがて、魚が寄り始めるとウキに微妙な変化が起こり、突然、一目盛り(約5ミリ)、ツンと力強く入ります。これが魚が餌を吸い込んだ合図です。これを逃すと、再び餌を吐き出すために釣れません。
 まさに、この瞬間がヘラブナ釣りの醍醐味なのです。ぼんやりとしているようですが、オジサンたちは常に緊張しながら、ウキを見て状況判断に頭をフル回転させているのです。
 このことは、激動の時代においても言えると思います。常にウキを凝視し、微妙な兆しを察知し、分析し、エビデンスを積み上げ、予測し、次の動きに繋げていく。この繰り返しが重要となってきます。
 とはいえ、飽きっぽい私ですから、よそ見をしていたら、教えてくださいね。

(Y.H)
 

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