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月刊JGAニュース

株式会社畑鐵工所  

 GE薬協会員の皆さま、こんにちは。賛助会員の株式会社畑鐵工所です。
 ようやくWithコロナの生活様式とともに、本格的な経済活動の期待高まる中、世界情勢の不安定な状況が相まって資材高騰、価格改定など経済の影響を受けており、医薬品製造業においても同様の影響を受けている状況となります。
 また固形製剤においては、厳しい査察当局の監視に応えるべく、設備更新、システムアップデートなど、高品質かつ効率的な生産が求められている状況にあると認識しています。弊社も固形製剤装置メーカーとして、世間の情勢に追従できるよう、サービス体制の見直しを含めた取り組みを日々進めております。
 かつての装置は、薬価に比例して付加価値が高いものほど、高価で高機能な装置が求められてきました。しかし現在は、高機能を標準装備した汎用的な装置が求められていると認識しています。そこで弊社が課せられた使命の中に、「高機能を標準化」を加え、医薬品製造業におけるNEWノーマルに貢献していきたいと考えています。

●データインテグリティ(DI:データの頑健性)の取り組み

 グローバルに視線を向けると、EU圏では既にDIの標準化が進んでおり、DIを付加価値とは捉えていません。近い将来、日本国内においても同じ状況になることが予想されます。
 弊社では従来、システムのカスタム対応として多数のDIの実績を積んで参りましたが、現在では更に標準化の検討を進めています。同時にEU-GMPへの対応として、21CFRPart11※1、SCADA※2を標準化した錠重量制御APCを打錠システムに搭載し、よりグローバル志向の装置をご提案することで、ユーザー様の選択肢を広げることに取り組んでおります。更に本年度は、周辺機器を組み合わせた自動化機能の拡充、自動サンプリングとフィードバック制御機能を付加し、新世代モデルのNEO・
TABTRAN、TKR【匠】シリーズへの搭載展開を目指しております。

※1):FDAが制定した「電子データと電子署名」に関する規則で、医薬品販売業の許可申請や食品の販売許可申請の際に必要な要件
※2):産業制御システムの一種であり、コンピュータによるシステム監視とプロセス制御を行う。

●新拡張機能Punch-Vision開発

 データインテグリティに加え、より確かな製品を市場に送り出すことを遂行するため、新拡張機能Punch-Visionを開発しました。
 これまでは、製造途中での杵臼の不備、打錠障害の発見が遅れることで、次工程が停滞し、ロット廃棄せざるを得ない状況に直面することも少なくありませんでした。
 Punch-Visionはそういった予期せぬ廃棄を軽減することを目的として、生産中の上下杵先の全画像を撮像し、杵先の状態をリアルタイムでモニタリングできる機能として開発しました。現在は上下杵先の異常を検知した場合、機械停止する制御を行っていますが、将来的には不良排出機能と連携し、機械停止することなく不良品を系外排除することで、ユーザー様の生産効率の向上に貢献できるものと期待しています。
 また研究開発の分野においては、打錠障害の状態を打錠中にモニタリングできることが可能となるため、新たな知見を得ることができるのではないかと期待しています。

●小型研究機エントリーモデルHT-DIO誕生

 この度、弊社のラインナップに、手軽に打錠検討ができる小型研究機エントリーモデルを加えました。本機はロータリー式打錠の基礎を学ぶべく、若手研究者や経験の少ないオペレーターが、手軽に少量の原料で実験できる打錠検討機となります。
 本機は≪どこでも設置≫をコンセプトに、小型、軽量、単機能に特化し、導入のし易さを追求しました。一般的に、打錠操作はパラメータが多く扱い方が難しいという印象が強く浸透しており、高品質を維持するため製造現場では手順が厳格に定められ、決められたパラメータ以外触ることが許されない状況も多く、どのパラメータを操作すればどうなるかという疑問を抱えて操作されている方も少なくはない状況と認識しています。
 本機はそういった操作訓練のみならず、打錠前の混合、造粒工程での抜取試料を打錠確認するといった工程検証機としての活用や、生産前のシミュレーション機としても活用でき、医薬製造の現場にも貢献できるものと期待しています。是非ご検討ください。

●研究開発機能

 現在弊社では、医薬品産業以外においても、様々な粉体成形に取り組み、セラミックや金属、異種素材の積層成形や極薄成形など、医薬品とは異なる課題にも積極的に取り組んでいます。そういった経験を積み上げ、これまで培ってきたノウハウにエッセンスを加えることで、医薬品開発現場における各種検討課題に耳を傾け、問題解決に向けた提案や製造現場における効率化にお役立てできるものと確信しています。また昨今、話題に挙がりつつあるEHS(Environment:環境、Health:健康・衛生、Safety:安全)の視点から、医薬品(化合物)から作業者を守るだけでなく、機械から作業者を守る堅牢な安全機構の構築などにも視野を広げて取り組み、ジェネリック医薬品業界をはじめ、医薬品産業全体の発展に努めて参ります。

 

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