委員会活動報告
第25回日本医薬品情報学会総会・学術大会について
会 期:2023年6月10日(土)、11日(日)
場 所:京都薬科大学躬行館 および 一部WEB併用
概 要:第25回日本医薬品情報学会総会・学術大会が、「サステナブルな医療を紡ぐ医薬品情報」をテーマに開催され、日本ジェネリック製薬協会としては、サステナビリティセミナー 2を共催しました。
【セミナー概要】
サステナビリティセミナー 2
医薬品の品質確保・安定供給に関する課題と対策について~流通の課題も踏まえ~
日 時:2023年6月10日(土)15:30~16:30
形 式:対面のみ
座 長:竹上 学 氏(近畿大学病院 薬剤部長)
演 者:山本 剛 氏(厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課 ベンチャー等支援戦略室長)
「医薬品の安定供給に係る行政の取組み」
田中 俊幸 氏(日本ジェネリック製薬協会 広報委員会委員長)
「ジェネリック医薬品の信頼回復」に向けた日本ジェネリック製薬協会の取り組みについて
概 要:行政からの演者として、医政局・山本室長に行政の取組みについてご説明頂き、日本ジェネリック製薬協会からは、田中広報委員長が当協会の信頼回復に関する取り組みについて説明いたしました。終了後の質疑応答では、多数ご質問を頂き、中には、この供給不安がいつまで続くのか、品質管理を俯瞰できる人材の不足が影響しているのではないか等、厳しいご意見もありました。
当日は87名の参加があり、その6割が薬剤師の先生方で、病院ですら供給状況に対する意識は悪化していると感じられ、今後、それを踏まえた情報の「発信」をしていく事が、重要と思われました。
<参考>
ジェネリック医薬品に対する信頼の回復に向けた当協会の取組みについて
https://www.jga.gr.jp/effort.html
第25回日本医薬品情報学会総会・学術大会一般演題発表について
会 期:2023年6月10日(土)、11日(日)
場 所:京都薬科大学躬行館 および 一部WEB併用
一般演題発表形式:発表動画をオンデマンド形式で閲覧
演 題 ①:JGAにおけるジェネリック医薬品の新記載添付文書の標準化(1)検討結果と課題
演 者:日本ジェネリック製薬協会 安全性委員会 添付文書WGリーダー 浅田 和広 氏
演 題 ②:JGAにおけるジェネリック医薬品の新記載添付文書の標準化(2)改訂状況からの課題
演 者:日本ジェネリック製薬協会 安全性委員会委員長 大野 公嗣 氏
2017年に発出された医療用医薬品の添付文書記載要領改定通知では、経過措置期間が2024年3月31日までと定められている。
その一方で、2018年に発出された後発医薬品情報提供充実通知で、ジェネリック医薬品の新記載要領添付文書の「16.薬物動態」、「17.臨床成績」、「18.薬効薬理」の各項は、公表学術文献、公表されている先発医薬品の申請資料概要、公表されている先発医薬品の審査報告書などの資料を基に先発医薬品と同等の情報提供を行う、すなわち情報の更なる充実が求められている。
この同等の情報提供については、情報入手上の課題、添付文書への記載内容上の課題から、対応が容易ではないことを昨年の第24回日本医薬品情報学会シンポジウムで報告した。
今年度の学会では、前回の報告以降、GE薬協 安全性委員会に設置されている添付文書ワーキング(添付文書WG)の活動を通じて得られた成果の一部と課題をエッセンスとして、医薬品情報学を専門とする薬剤師の先生方に報告した。
これらの学会活動により、ジェネリック医薬品の新記載要領添付文書の課題(16~18項の同一/同等記載)について、先生方に一定の理解は得られたものと考えている。
しかし、別のシンポジウムで、全ての医療用医薬品の新記載要領添付文書への改訂作業が遅延しているが故に、新記載要領の電子化された添付文書の情報であるXML1)ファイルを用いた情報の利活用にネガティブな影響を与えているとの報告があった。
これについては、実際にジェネリック医薬品において、新記載要領への改訂対応が遅れている実態がある。
その原因は学会でも報告した、16~18項について、先発医薬品と同一/同等の記載検討に多くの時間を要しているためであるが、新記載要領に関する厚生労働省通知(薬生発0608第1号_平成26年6月8日付:局長通知)で示された経過措置期間は、パブリックコメントを経て定められた期間であり、この期間は遵守する必要がある。
期間厳守のためにも、2023年5月22日付 日本製薬団体連合会(日薬連)通知で示されたように、新記載要領添付文書への改訂作業と16~18項の情報充実は別の時間軸として対応することが求められている。
GE薬協 安全性委員会として情報充実への対応は確実に実施する必要があると理解しているが、局長通知に定められている経過措置期間を協会加盟会社が確実に順守いただくことを第一優先と捉えているため、この別の時間軸の対応も必要と考える。
ジェネリック医薬品業界としても16~18項は先発医薬品と同一の情報提供を行うべきであるが、新記載要領添付文書への改訂を優先させることとし、非常に忸怩たる思いではあるが、当面以下の対応を検討いただくことを要請している。
協会加盟各社へのお願い:
新記載要領添付文書への改訂と情報充実対応を同時に進めることが困難であると判断された場合には、まずは新記載要領への改訂を優先することを検討頂きたい。
なお、新記載要領添付文書への改訂後に更なる情報収集と検討を行い、16~18項の情報を充実させるための改訂を行うことは適切な措置であるので、継続した情報の充実を図る活動を行うことを検討頂きたい。
GE薬協 安全性委員会 添付文書WGでは、引き続き会員各社の情報充実対応が適切に進められるよう、最大限の努力を行うことを実施活動計画と定めているので、引き続き、同添付文書WGへの積極的な活動協力をお願いしたい。
1):XMLとは、タグで構造化された情報であり、情報は構造化されて初めて、情報間の比較・連携が可能となる。例えば、類似薬効成分の医薬品間の禁忌を比較することや、臨床成績に関する情報について添付文書とインタビューフォーム、申請資料概要を相互連携による確認等を行うなどの利活用が期待されている。