バスフィッシング
今回は私の趣味である「バスフィッシング」について紹介します。
広大な湖面、大小様々な河川、小さな野池等、水辺で繰り広げられる人間とバスの知恵比べは、なぜこれほどまでに私たちを魅了し続けるのでしょうか。その歴史を紐解きながら、バスフィッシングの魅力を紹介します。
アメリカの地で生まれたスポーツフィッシング
バスフィッシングの起源は、19世紀後半のアメリカ合衆国に遡ります。豊かな自然に恵まれたアメリカでは、レクリエーションとしての釣りが盛んになり、特にブラックバスはその引きの強さ、そしてルアー(疑似餌)への反応の良さから、格好のターゲットとして注目され始めました。
初期のバスフィッシングは、木製や金属製のハンドメイドルアーを用いたシンプルなものでしたが、リール(釣り糸を巻き取るための道具)の進化、ライン(釣り糸)の改良と相まって、徐々にその技術は洗練されていきました。この頃から、単なる食料確保のための漁から、スポーツとしての要素が強くなり始めます。
日本へ外来魚としての導入
日本にブラックバスが初めて持ち込まれたのは、1925年にアメリカから芦ノ湖(箱根)に移植したのが始まりとされています。今年で100年が経過します。ブラックバスは当初、食用魚としての期待もありましたが、ゲームフィッシングの対象魚として人気が高まり、その後の全国的な移植により、急速に生息域を広げていきました。
1970年代に入ると、アメリカからバスフィッシングの文化が本格的に日本に紹介され始めました。ルアーメーカーの進出、専門誌の創刊、そしてビデオの普及などにより、若者を中心にブームが巻き起こりました。
成長期
1980年代から1990年代にかけて、バスフィッシングは日本において爆発的な成長を遂げます。全国各地でトーナメントが開催されるようになり、「プロアングラー(魚や海川、気象に関する知識と高い技術力を持ち、職業として魚を釣るプロ)」という職業が確立されました。メディアでの露出も増えたことから、多くのトップアングラーがカリスマ的な人気を博しました。
若者に人気のある有名人もバスフィッシングをしていた為、バスフィッシングは爆発的なブームとなりました。
この時期には、ロッド(釣竿)、リール、ルアーといったタックル(釣り道具)の進化も目覚ましく、高度なテクニックが求められるようになりました。同時に、釣り方やルアーの種類が細分化され、バスフィッシングは単なる趣味の領域を超える勢いでした。
当時の私は、バスフィッシング業界で最も有名な方が執筆された本「まちがいだらけのバッシング」や雑誌「つりトップ」をひたすら読んでいた記憶があります。まさに私にとっての「バイブル」でした。
現代のバスフィッシング
2000年代に入ると、バスフィッシングを取り巻く環境は大きく変化します。特定外来生物法の施行により、ブラックバスに対する法的規制が強化され、リリース禁止や駆除活動が各地で行われるようになりました。これにより、一時期のような無制限な発展は難しくなりましたが、アングラーたちは環境問題への意識を高め、よりサステナブルな釣りのあり方を模索するようになりました。
また、日本のバスフィッシングといえば、誰もが「ブラックバス=ラージマウスバス(オオクチバス)」を指すほど、その存在は圧倒的でした。しかし近年、特に一部の地域で「スモールマウスバス(コクチバス)」の存在感が増し、新たなターゲットとして注目されるようになりました。
スモールマウスバスはラージマウスバスよりも積極的にルアーを追いかけてきます。釣れた時の「引き」はラージマウスバスよりも強く、魚との「ファイト」をより楽しめます。
また、ルアーやタックルは高価なものが多いのですが、現在は中古市場が発展し、店舗やネット通販等で比較的安価で購入することができます。
「食べない魚を釣って何が楽しいの?」と聞かれることが多い趣味ですが、魚にルアーを食わせるためのルアーの選択やルアーの動かし方等を考えたり、魚がいそうな障害物(立木等)にルアーを投げたり、ルアーを遠くに投げる技術力を身に着けたりするのがとても楽しいです。さらに魚がルアーを食べた時に「ビクン」とロットに伝わってくる感覚と、魚を釣り上げるまでの魚とのファイト(引き)は格別です。ルアーの材質も多く、プラスチック製や樹脂製などがあります。形状も多種に渡ります。魚を模したもの、ミミズを模したものなど色々あります。さらにルアーの使い方も様々です。水面で泳がして魚を誘う方法、底を泳がして魚を誘う方法など、その時の状況を見極めてルアーをチョイスします。自然と対峙し、季節の移ろいや天候の変化を感じ取り、そして一匹のバスとの出会いを求めて試行錯誤する過程そのものが、アングラーにとってかけがえのない時間なのです。
アウトドアが好きな方や自然の空気を感じたい方、バスフィッシングに関わらず、釣りは良い趣味だと思います。ぜひお試しください。
最後に、あらゆるジャンルの釣りに共通する当たり前の事ですが、マナーやルールを守って釣りを楽しみましょう。