中医協「企業指標A」に銘柄別収載も 価格帯ルールの見直しで
報道局 海老沢 岳 氏
厚生労働省は10月29日の中医協薬価専門部会で、後発医薬品の企業指標で「A」評価を受けた企業のうち、一定の条件を満たす品目については価格帯集約を行わず、銘柄別で薬価改定を行う案を提示した。厚労省は今回、複数の論点を挙げており、部会の議論を踏まえて見直し案を具体化する。
後発品の企業指標は、安定供給や品質確保への取り組み状況を評価する指標として2024年度薬価改定で試行的に導入された。企業指標Aを獲得した企業のうち、平均乖離率以内など一定の要件を満たす品目には、通常の3価格帯とは別の高い価格帯で薬価が付いている。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「安定供給に努力する企業が市場で評価される形にすべき」と賛同。これに対して支払い側の松本真人委員(健保連理事)は「企業指標の仕組み自体は試行を継続すべき」と述べ、制度変更に慎重な姿勢を示した。
○注射・BSに価格帯減少案
厚労省は注射剤とバイオシミラー(BS)の価格帯集約の見直しも論点で提示。注射薬とBSは同一規格や同一剤形の品目数が少ないことを踏まえ、3価格帯のうち「最高価格の30%を下回る算定額」の価格帯集約だけを残す方向性を提案した。一方で、同一規格・同一剤形の品目数が多い内用薬と外用薬についても「3価格帯集約をどう考えるか」という論点を示している。
G1・G2品目の後発品は、上市から12年経過後、原則1価格帯にすることになっている。だが不採算品再算定や基礎的医薬品、最低薬価などの下支えルールの適用により、価格帯は増えているのが実情。これを踏まえて厚労省は「3価格帯集約とは別の取り扱いを行う必要性についてどう考えるか」と論点を提示し、「現状に即したルールへの見直しが必要」と説明した。
○BS収載時薬価も議題に
オーソライズド・ジェネリック(AG)とバイオAGが、後発品とBSの普及を妨げていることも論点に挙げた。バイオAGについては「BSの保険給付の在り方に関する検討状況も考慮した上で、収載時薬価等について検討する」よう求めた。低分子薬のAGについても「適切な競争環境を維持するための制度についてどう考えるか」と論点に記載した。
診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「バイオAGより一定程度低い価格でBSの薬価を設定することが必要」と提案。松本委員は「バイオAGは実質的に先行品と同じ製品であり、薬価も同一にすべき」と主張し、BSと同価格の現状に違和感を示した。