東和薬品株式会社

東和薬品株式会社
https://www.towayakuhin.co.jp
創業年:1951年6月(昭和26年)
代表者名:吉田 逸郎
本社所在地:大阪府門真市新橋町2-11
従業員数:3,661名(2025年10月現在)
【企業理念】
私達は 人々の健康に貢献します
私達は こころの笑顔を大切にします
“高血圧治療薬バルサルタン原薬(薬の有効成分)に、発がん性が懸念されるニトロソ・ジメチルアミン(N-Nitrosodimethylamine = NDMA)が混入している“という2018年の報道を耳にして7 年が経過した。現在は、NDMAに代表される低分子ニトロソアミン類不純物の混入のみならず、原薬に直にニトロソ(NO)基が置換したNitrosamine Drug Substance-Related Impurities(NDSRIs)が、全世界の製薬業界を揺るがしている。NO化されうる薬剤は世の中に数多く存在しているため、その波紋は急速に拡大しており、原因究明と対策の実施が急がれている。
“メトホルミン原薬中に残留していた極微量のジメチルアミン(DMA)が、空気中の極微量の窒素酸化物NOxと反応してNDMAが生成した”とする混入経路を明らかにし、原薬からDMAを除去することによりNDMAの混入を阻止したことを2年前(2023.08)の会社だよりで報告した。すなわち、原薬中の混入アミン不純物類を検出して除去しさえすれば、NDMAに代表されるニトロソアミン不純物類の混入を回避することが可能である 【解決策① アミン不純物類の除去が必要】。
原薬中の混入アミン不純物類の検出方法として、弊社ではODSカラムおよびCXカラムを直列に連結したカセットスクリーニング(まとめ評価)により、低分子アミン10種類を同時に検出する分析法(東和アミンアプローチ)を確立した。
一方、冒頭に述べたNDSRIsの場合は、原薬の構造自体がNO化されるため、“原薬以外の製剤成分中の亜硝酸塩類”および“通常数十~数百ppbの割合で空気中に存在する極微量の窒素酸化物NOx”を極限まで減少させてNDSRIsの生成/混入を抑制するのは、まさに至難の業であった 【解決策② NOxの除去が必要】。
空気中のNOxをppb(10億分の1)レベルまで低減する前人未到の挑戦は困難を極めたが、極めて高い品質が求められる医薬品製造におけるPros & Consを考慮して検討を進めた結果、「NOx吸着フィルター以外の選択肢はない」と決断して各種NOx吸着剤の探索に舵を切った。その結果、幸いにも“化学吸着能および物理吸着能を併せ持つケミカルフィルター”が、期待通りの強力なNOx吸着能を示すことを見い出した。とは言え、医薬品製造において化学物質の混入は決して許されるものではなく、さらなる改善、改良を重ねた結果、ついに望む優れたNOx吸着フィルターを手にした。
2024年冬、NDSRIsの低減効果を実証するために、NOx吸着フィルターを通した空気(室内空調、圧空、給気)存在下で、アトモキセチン/ストラテラの実機製造を決行した。その結果、ニトロソ・アトモキセチン/ストラテラの許容限度値0.83 ppmを下回る製造に成功(0.097 ppm)した。
実機製造でニトロソアミン類の低減を実証するまでの道のりは長く、七難八苦の連続であったが、数多くのデータ取得と様々な考察、そしてモデル実験の繰り返しを通じて、ニトロソアミン類が生成/混入する理由がおぼろげながらようやく見えてきた。すなわち、(ア)製造工程には必ず空気が存在しており、(イ)製造(原薬、製剤)、製剤処方を考慮した薬剤毎の総合診断が不可欠であり、(ウ)ニトロソアミン類増加抑制には複数の対策資材が必要との結論に達した。
“ニトロソ体生成の根絶”を究極の目標に掲げ、製造工程(原薬、製剤)の見直しはもとより、各種ニトロソ化物質の特定や添加物の変更、そして空気中の極微量の窒素酸化物NOx制御を通じて、安心、安全な医薬品の安定供給を実現すべく、今後もたゆまぬ追究と挑戦を続けてまいります。
✿NOx Think Tank Project https://www.towayakuhin.co.jp/nox-thinktank/
✿Project Story(動画) https://youtu.be/Z-JgOwhz8F4