秋深む 薬草香る医の道しるべ — 江戸の智恵と現代の備え
毎年11月は「防災週間」。自然災害が多発する日本において、あらためて備えを見直す絶好の機会です。
さて、昔の日本では、薬の安定供給は地域の医師や薬問屋、そして庶民の知恵によって支えられていました。特に秋は農作物の収穫とともに薬草の収穫時期でもあり、自然の恵みを活かした災害時の備えが重要視されました。
江戸時代には、疫病や飢饉に対応するため、幕府が薬種問屋を統制し、医薬品の流通を管理。これが現在の安定供給の基盤となっています。
現代では、新型感染症の影響等を踏まえ、医薬品の国内生産強化やサプライチェーンの多様化を進め、災害時にも途切れない供給体制を構築中です。
秋の深まりとともに、自然と人の知恵が織りなす医療の歴史を感じつつ、未来の安心へ思いを馳せたい季節です。
(S.S.)
【参考】
佐藤良明『江戸時代の医療と薬種問屋』日本医史学会誌、2012年
厚生労働省「医薬品の安定供給政策」