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月刊JGAニュース

編集後記  

 先日ある新聞の社説を見ていたら、「SNS時代こそ言葉を大切に」とうい記事が掲載されていました。筆者も最近テレビなど見ていても首をかしげる言葉が出てきて、検索エンジンで意味を調べる回数が増えています。
 記事では「お疲れさま」を「乙(おつ)」と略したり、泣きたい気持ちを「ぴえん」と表現したりするそうです。なにがなんだかさっぱり分かりません。若い人たちの間では当たり前に使われている表現でも、前期高齢者の筆者にとっては、同じ日本人同士でも言葉が通じない時代がきたかと一人嘆く昨今です。
 略語でも「中医協」の正式名称は「中央社会保険医療協議会」、「流改懇」の正式名称は「医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会」、このように長い正式名称を3文字で表現する事は合理的で理解できますが、泣きたい気持ちを同じ3文字で「ぴえん」と略するのとはわけがちがいます。こちらが泣きたくなります。
 文化庁が実施した2024年度「国語に関する世論調査」1)によると言葉の使い方にSNSの影響があると答えた人は89%に上ったそうです。その影響では今後「短い言葉でのやりとり」が増えると答えている人が多いとの結果が報告されております。
 短い言葉といえば、「どさ」、「ゆさ」という会話を聞いたことがあるでしょうか。これは津軽弁で、日本語で一番「短い会話」と言われています。標準語に訳すると「どさ」は「どこへ行くの?」で、「ゆさ」は「温泉に行きます」となります。更に分解すると「ど」は、どこに、を意味し「さ」は方向を示すそうです。
 では何故、ここまで短い会話になったのでしょう。ここには津軽地方ならでは理由があります。冬は極寒で吹雪のせいで目を開けることすら困難で、長く口を開けて会話をすることが困難な状況から先人の知恵で短い会話になったと言われております。また、津軽より更に極寒のロシアでも同様のロシア語による短い会話があるそうです。
 因みに青森といえば、吉幾三。2019年12月リリースの彼の歌で「TSUGARU」を聞いてみてください。さて、どこまで歌詞を理解できるか。
 「方言は国の宝」と言われるように地域ごとの文化や歴史を反映した貴重な言葉なので大事にしたいものです。
 もう一つ、略語とは違った使い方をする言葉で「符丁」があります。寿司屋の符丁「シャリ」、「あがり」などありますが、アワビは「片思い」だそうです。寿司屋へ行って「片思いを握って」と大将にいったら「勝手にしやがれ!べらぼうめ」と返ってきそうです。
 「略語」、「方言」、「符丁」などの言葉には合理性もあり、味もありますが、地域性や歴史的な背景を込めて大事に使いたいと思います。

(E.H.)