EN

月刊JGAニュース

高額療養費制度の見直しについて  

 家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」があります。1) 高齢化や高額薬剤の普及等により高額療養費の総額は年々増加しており、結果として現役世代を中心とした保険料が増加してきました。2)
 そこで、令和8年8月からと令和9年8月からの2段階に分けて高額療養費制度の見直しが実施されることとなりました。

 高額療養費制度の在り方について検討する場として、社会保障審議会医療保険部会の下に、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会が令和7年5月に設置されました。専門委員会では、患者団体・保険者等からのヒアリングを丁寧に実施した上で、具体的な高額療養費制度の在り方に関して集中的に議論を行い、「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(令和7年12月16日)」がまとめられました。3)
 この考え方を踏まえ、高額療養費のセーフティネット機能に鑑み、長期療養者や低所得者の経済的負担の在り方に配慮しつつ、制度を将来にわたって堅持していくための高額療養費制度の見直しが行われます。4)

 

出典:高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)

 具体的には、令和8年8月からは、低所得者の負担に配慮しつつ、一人当たり医療費の伸びに応じて月額負担上限額を見直すとともに、令和9年8月からは、応能負担という観点に基づき、所得区分をよりきめ細かいものとするため、現在の限度額から著しく増加することがないよう配慮しつつ、所得区分の細分化を行うこととされています。1)

 

出典:高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)

 その際、長期療養者への配慮の観点から、「多数回該当※1」の金額を維持するとともに、長期にわたり治療を継続されている方が不安に感じる「将来の医療費負担」に見通しを立てやすくなるよう、令和8年8月から新たに年単位の上限額(「年間上限※2」)が設けられます。
 また、低所得者への配慮の観点から、「年収200万円未満の課税世帯」の多数回該当の金額が令和9年8月から引き下げられます(▲同25%)。1)

 

出典:高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)

 なお、現行の制度については、過去の知っ得!豆知識も参考にしてください。5)

※1 「多数回該当」とは、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合は、4か月目以降は自己負担限度額が更に軽減される仕組みです。今回の見直しでは、長期に継続して治療を受けられている方の経済的負担を増加させないために、「多数回該当」の金額を据え置くこととしています。
※2 月ごとの自己負担額が積み上がっても、年間の上限額に達した後は、それ以上の医療費については、保険者から還付を受けることができます。(年間とは、8月から翌年7月までを指します。)

<引用>
1)厚生労働省 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

2)第192回社会保障審議会医療保険部会 資料2「高額療養費制度の見直しについて」 令和7年1月23日
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001393881.pdf

3)高額療養費制度の在り方に関する専門委員会 「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方」 令和7年12月16日
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001613051.pdf

4)厚生労働省 「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001715427.pdf


<参考情報>
5)日本ジェネリック製薬協会 JGAニュース2018年5月(121号) 知っ得!豆知識「高額療養費制度」
https://www.jga.gr.jp/information/jga-news/2018/121/06.html