ロートニッテン株式会社

ロートニッテン株式会社
https://www.rohto-nitten.co.jp/
創 業 年 :1961年11月
代表取締役社長:和田 政勝
本社所在地:愛知県名古屋市南区桜本町40番地の2
従 業 員 数:327名(2025年3月期)
当社は1961年に眼科領域に特化した製薬会社で前身の「日本点眼薬研究所」が設立されて以来、「すこやかな視界への挑戦」という理念を掲げ、防腐剤無添加の「PFデラミ容器®」など「目にやさしい点眼薬」を開発コンセプトにした製品を医療機関や患者様に提供し続けて参りました。2020年には社業の一層の発展を願い「目の健康を守り社会に貢献する」という志を同じくするロート製薬のグループの一員となり2022年4月から、社名を「ロートニッテン株式会社」に変更し、ロート製薬の医療用点眼薬事業の中核として共に歩んで参りました。
社名変更時、当コラムに「近年製薬企業を取り巻く環境は厳しさを増す一方で前途は予断を許さない状況です。さきの後発医薬品の品質問題に始まり、それにより表面化した安定供給の課題、さらに昨年からの中間年での薬価改定による収益の圧迫・・・」1)とご挨拶させていただいてから3年となりますが、業界をとりまく状況はますます厳しくなってきております。
まずは、中間年の薬価改定により製薬企業の収益性が圧迫され続けていて、数量シェア目標達成のため企業間の競争が激化してきています。最近の円安や人件費上昇などによる製造価格上昇は薬価下落と挟み撃ちをする様に利益を圧迫しています。また、安定供給の確保のための在庫の積み増しは企業の財務状況の悪化を招き、更に、品質問題の再発防止のために品質管理人員の増員も必要となってきています。それでいて、医薬品製造に伴う廃棄物の適切な処理や、環境負荷の低減に環境への配慮にむけた取り組みも求められています。
一方で厚生労働省は後発医薬品会社に対し、多岐にわたる側面から企業評価を始めました。安定供給能力、薬価の平均乖離率、市場撤退品目数、情報公開の実施状況等で企業を評価し企業指標を算定されることとなりました。そして、2026年度の薬価制度改革に向けて、この企業指標による評価を薬価へ反映させる予定で、品目統合や企業間の連携・協力、事業再編などを通じた、より効率的で安定した業界構造への転換を促す方針です。厚生労働省は、成分ごとに5社程度のメーカーによる供給が安定供給につながるとしており、各企業は、今後の市場環境の変化を見据え、自社の立ち位置や戦略を慎重に検討していく必要があります。
実際、これに呼応する動きとして後発医薬品業界も企業間の連携や統合、大手後発医薬品メーカーによる中小メーカーの買収や、中堅メーカー同士の統合などが進んでいます。また、 生産の集約化・品目整理をはじめ効率的な生産体制を構築するため、特定の企業に生産を委託したり、不採算品目を整理したりする動きが出てきています。これらによって生産体制の効率化や品質管理体制の強化を図り、安定供給を確保するとともに生産規模の拡大やコスト削減によって、企業の収益性を改善し、持続可能な経営を目指してきています。
このような環境の中で、当社は後発医薬品の特に「医療用点眼剤の専業メーカー」として存続を図るとともに、その自負と自覚をもって業界の中で貢献をしていく所存です。人間の受け取る情報の約8割は視覚から得られているといわれています。高齢化が進む中で緑内障などの眼疾患による失明リスクは上昇する一方です。当社はロート製薬グループの一員として、後発医薬品業界の課題である安定供給や品質問題、さらに一歩進んで患者様に使いやすい点眼薬開発につとめ、「医療用点眼薬専業メーカー」として目に関わる研究開発の拡充と工場施設の更新等に経営資源を集中していく予定です。これによって、研究開発の成果による新しい点眼薬を提供するとともに、工場では効率的な生産体制を構築し生産受託も拡大していく予定です。
2021年にはロート製薬の「総合経営ビジョン2030」に呼応する形で当社の中長期ビジョン「Vision 2030」を纏めました。「Vision2030」では当社にかかわるすべての人々の「Well-Being」を実現するために社会の公器として事業を通じて社会に新たな価値をもたらし、社会貢献によって当社は持続的な発展を目指します。ロート製薬の「NEVER SAY NEVER」の精神のもと、新しいチャレンジをし続けることで高く困難な目標も達成していく所存です。
<参考>
1)日本ジェネリック製薬協会 JGA-NEWS No 174 会員会社だより ロートニッテン株式会社
https://www.jga.gr.jp/information/jga-news/2022/174/02.html