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月刊JGAニュース

代用法通知の改正について

薬制委員会

 医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保等を規制する法律である「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」と称します。)では、医薬品は、品目ごとに厚生労働大臣(又は都道府県知事)による製造販売承認(以下、「承認」と称します。)を受けなければ、製造販売を行うことはできない製品です。
 当該医薬品の名称(販売名)、成分・分量、用法・用量、効能・効果、製造方法等に加え、その医薬品に使用される成分及び製剤の品質を確認するために設定された規格と、その規格を確認するための試験方法は審査当局により審査された承認事項が医薬品製造販売承認書(以下、「承認書」と称します。)に記載されています。承認を取得した後に製造される医薬品の成分、製造方法及び品質等については、これら承認された内容と同一であることが薬機法において義務づけられています。
 医薬品原薬等の供給元の多様化等を背景に、承認書に規定している規格及び試験方法を前提にしつつも、運用実態として承認書に規定する規格及び試験方法での実施が困難な場合が想定されることから、令和5621日付 薬生薬審発06212号・薬生監麻発06213号通知「要指導医薬品及び一般用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」、及び令和5621日付 薬生薬審発06215号・薬生監麻発06216号通知「医療用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」の通知が発出されています。この通知については、JGAニュース 2023年10月(No.186)の「知っ得! 豆知識」(代用法について)[1]において、新たに示された試験法に関する考え方として紹介しています。
 また更に翌年、令和6624日付 事務連絡「医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」に関する質疑応答集(Q&A)について(以下、このQ&A通知と上記の2つの通知を総称して「代用法通知」と称します。)が発出され、代用法に関する判断が明確になりました。更に、代用法通知で示された「代替法」、「代用法」、「別法」の概念に基づき、令和6年に実施された日本製薬団体連合会(日薬連)主導の後発医薬品の承認書一斉点検も実施されています。
 今般、令和8年6月3日付で、下記の代用法通知の改正通知及び改正通知に係る質疑応答集(Q&A)(以下、「改正通知」と称します。)が発出されました。これら改正通知により従前の代用法通知から変更された点等について、簡単にまとめた内容をお知らせ致します。
・令和8年6月3日付 医薬薬審発0603第1号・医薬監麻発0603第7号通知「「要指導医薬品及び一般用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」の一部改正について
・令和8年6月3日付 医薬薬審発0603第4号・医薬監麻発0603第10号通知「「医療用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」の一部改正について」
・令和8年6月3日付 事務連絡「「要指導医薬品及び一般用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」及び「医療用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて」に関する質疑応答集(Q&A)について」

「代用法」、「代替法」、「別法」について
 改正通知でも代用法に関しては基本的な考え方に変更はありません。そのため「代用法」、「代替法」、「別法」についても考え方の変更はありません(これらの基本的な考え方については、JGAニュース 2023年10月(No.186)の「知っ得! 豆知識」(代用法について)をご参照下さい)。
 しかしながら、今回の改正通知により「代用法」が適用となる範囲が大きく変更になりました。即ち、今回の改正通知では、代用法の対象から日本薬局方外医薬品規格(局外規)又は医薬品添加物規格(薬添規)の各条に定める試験方法が除外されることになりましたので、以下の試験方法は代用法の対象外になります。
①日本薬局方各条に定める試験方法
②厚生労働大臣が定める基準1)の各条に定める試験方法
③医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年8月31日厚生省令第30号。以下、「タール色素省令」と称します。)に規定されている試験方法
④日本薬局方外医薬品規格(局外規)各条に定める試験方法
⑤医薬品添加物規格(薬添規)各条に定める試験方法

 従前の通知では、④日本薬局方外医薬品規格(局外規)又は⑤医薬品添加物規格(薬添規)の各条に収載された試験方法は代用法の対象となることから、これらの試験方法を承認書に記載している場合(即ち承認法)、これらの試験法よりも精度・真度等がより優れた試験方法についても、この試験方法は試験機器の故障やメンテナンスのため一時的に使用する代用法のみが適用されることになっていました。従って、これらのより優れた試験方法を継続的に使用する場合は「別法」に区分されますので、承認法とするため承認書の変更(即ち、承認事項一部変更申請による薬事手続きによる変更)が必要となる運用となっていました。
 今回の改正で、①から⑤までの基準は代用法通知の対象外とされ、「当該基準等で規定されている範囲内で運用が可能である」旨が改正通知で示されました。追加で対象外とされた④と⑤の規格集の通則には、日本薬局方 通則14を準用する運用が規定されていることから、条件を満たせば、これらの試験方法については「代替法」に区分される運用が可能となるよう整理されています。

 令和6年に実施された日本製薬団体連合会(日薬連)主導の後発医薬品の承認書一斉点検において報告された承認書と製造実態の相違のうち、試験方法が承認法と異なる事案には、日本薬局方の一般試験法、「9. 標準品、標準液、試薬・試液、軽量器・用器」の<9.41>試薬・試液に適合する品目が市場流通の販売終了等のため入手不可となっていたことにより、規格が日本薬局方の<9.41>試薬・試液と合致しない試薬・試液を使用していることから、その試験方法が「承認法」ではなく「別法」に区分されたという相違が多数を占めていました。本事案に対する薬事手続きとして、実際に使用されている<9.41>試薬・試液以外の試薬・試液の規格等を承認書に記載することにより該当する試験方法が「承認法」となるような対応が行われ、これによる相違は解消されています。
 今回の改正通知では、これらについてもQ&A通知により手当てがなされています。具体的には、代替法適用対象外の品目についても『承認書において個別に日本薬局方、42条基準、局外規及び薬添規のいずれかの試薬・試液を用いる旨を規定しておらず、【別紙規格】又は【規格及び試験方法】の末尾に「本規格及び試験方法は、別に規定するもののほか、日本薬局方の通則、製剤総則及び一般試験法を準用する。」等と記載している場合、必ずしも日本薬局方の<9.41>試薬・試液適合品を用いる必要はなく、これを参考に、用途に応じて適切な品質の試薬を選択し、使用することで差し支えない。』と示されたことにより、承認書への記載の有無にかかわらず「承認法」に区分されるという解釈で整理されています。

代用法の運用について
 今回の改正通知により、前述のとおり適用範囲の変更に加え、Q&A通知により具体的な事例が追加されました。改めて、「承認法」に代わる「代用法」となり得る条件は、以下の(1)~(3)全てをみたす場合とされています。
(1)化成品の医薬品に係る試験であること。
(2)承認法が、日本薬局方、厚生労働大臣が定める基準、日本薬局方外医薬品規格(局外規)、医薬品添加物規格(薬添規)又はタール色素省令の各条に定める試験方法以外であること(これら基準に収載されているものには「代替法」が適用となるため)。
(3)以下のいずれかに該当すること。
(ア)代用法が、承認法と同一原理の試験法で同等以上の分析性能がある以下のような場合。
 ・規定の試験方法と異なる発色試薬を使用した定性試験
 ・規定の試験方法と異なるカラム、流量、移動相で行うクロマトグラフィー
 ・確認試験として赤外吸収スペクトル測定法(IR)を設定しているが、規定の測定法(錠剤法、ATR法等)とは異なる測定法で確認する場合
 ・既定の試験方法で使用する試薬、機材等と同等の試薬、機材等を用いて試験を行う場合
(イ)代用法が、承認法とは原理が異なる試験法であるが、以下①~③のいずれかに該当し、承認法と同等以上の分析性能がある場合。
 ①確認試験又は有機不純物を対象とする純度試験において、承認法の薄層クロマトグラフィー法を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)法又はガスクロマトグラフィー(GC)法とする場合。
 ②定量法において、承認法の滴定法、蛍光光度法又は紫外可視吸光度測定法をクロマトグラフィー法とする場合。
 ③官能基の確認試験において、承認法の呈色反応を赤外吸収スペクトル測定法(IR)とする場合。

また、合わせて薬機法上の取扱いに関する以下留意事項が追加されました。
・令和7年2月13日付 医薬薬審発0213第5号通知「年次報告に係る変更手続導入に向けた試行的実施について」で施行導入された年次報告事項を設定した試験方法(承認法)を運用する場合は、年次報告に係る資料に代用法を使用している旨記載すること。
・製品の出荷試験が行われる製造所等で複数の試験設備を有する場合や、複数の製造所等で出荷試験を行っており、施設間で試験設備が異なる場合等、複数の試験方法が継続的に利用される場合であって、試験方法の合理化記載2)を行った場合であっても規定の試験方法の統一が困難な場合、以下の全てを満たすことを確認した上で実施する試験方法を全て承認書に併記すること。
 ア)原則として、併記される試験方法間で規格値が同一であること(粒子径等、試験に用いる測定機器等により分析結果が異なる場合に限り、試験方法間で規格適合/不適合の判定基準が本質的に同一となるよう、異なる規格値を設定することができること)。
 イ)併記される試験方法の分析性能が同等であること(併記される試験方法の分析性能が同等ではない場合、当該試験方法に係る目標分析プロファイルが特定されており、併記される試験方法がいずれもこれを満たすこと)。
 ウ)いずれか1つの試験方法を選択して規格適否判断が行われるよう管理されていること。

まとめ
 令和6年に実施された後発医薬品の承認書一斉点検により、試験法に係る相違・齟齬は適切に薬事手続きが実施されており、既に「別法」に対する手当は完了していますが、今般発出された改正通知の留意事項を含め、今後本格導入されると考えられる年次報告に係る変更手続等についても、改正通知で示された各項の内容は大きな意義を持つものと考えられます。
 また、改正通知のQ&A通知で明記された規格適合品の試薬・試液が市場になく、入手できない場合の対応により、今後の試験方法の運用或いは各社において定期的に実施されている承認書点検や今回の承認書一斉点検の対象外とされた製品(今回は後発医薬品が対象)に関する適切な手当ても可能になります。
 「代用法」、「代替法」、「別法」の区分が再度整理され、承認書への試験方法の記載についてもより明確となったことで、今後承認申請される製品についても適切な運用が図られることになることが想定されます。

1) 薬機法第42条に係る基準
・放射性医薬品基準
・生物学的製剤基準
・血液型判定用抗体基準
・生物由来原料基準

2) 平成30年3月9日付 薬生薬審発0309第1号・薬生監麻発0309第1号「医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について」並びに令和4年1月28日付 事務連絡「医療用医薬品の承認申請書の規格及び試験方法欄にかかる記載の合理化について」

参考
[1]JGAニュース 2023年10月(No.186)の「知っ得! 豆知識」(代用法について)