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月刊JGAニュース

「治療態様特許」について

知的財産委員会

1. 「治療態様特許」の定義

対象患者や治療レジメンを細分化して、医薬品の添付文書の「効能又は効果」や「用法及び用量」にはない文言を請求項に記載する特許を言います。

(具体例)医薬品の効能又は効果が「2型糖尿病」である場合:

 【請求項1】中等度又は重度の腎障害をもつ患者において、2型糖尿病を治療するためのDPP-4阻害剤を含む薬剤。

2. 「治療態様特許」の特徴

①治療態様特許は、2025年5月に作成されたパテントリンケージ研究班の報告書1において、「用途特許」の一態様であるとして、後発医薬品の承認審査において考慮される(パテントリンケージの対象となる)ことが明記されております。
②治療態様特許は、一部の患者や一部の治療方法に限定して権利化されるため、その医薬品を使用する場合、一部の使用は特許の範囲に含まれうる一方で、その他の使用は特許の範囲に含まれないという状況が生じます。かかる事情から、特許抵触の判断が困難であることが多く、2025年11月に試行開始された「専門委員制度(厚労省が中立的な立場にある専門家から意見を聴取できる制度)」の対象になりやすいと考えられます。
③治療態様特許に対する無効審判件数は、近年増加しています。(図1)2016年以降に無効審判請求された治療態様特許のうち、無効審決又は無効とすべき審決の予告が出たものは84%(16件/19件)です。(図2)治療態様特許の無効理由としては、進歩性欠如が95%(20件/21件)です。(図3)2

 

【図1】調査対象:2016年以降の治療態様特許に係る無効審判請求件数

治療態様特許に係る無効審判請求件数

【図2】調査対象:2016年以降の無効審判請求により最終処分がなされた事件

治療態様特許の無効化率

【図3】調査対象:2016年以降の無効審判請求により無効の判断が示された事件(最終処分がなされた事件のみ)

無効とされた治療態様特許の無効理由の割合

注1. 日本型パテントリンケージ制度において医薬品特許の専門家の意見を反映させる仕組みの構築に向けた調査研究 令和6年度 総括研究報告書:
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178094

注2. 当協会が J-PlatPat(公的な特許データベース)にて検索したデータを基にして知的財産委員会により分析