歩く喜びをもう一度 〜人工股関節置換術がつないだ明日〜
昨年の夏より、私の右股関節は激しい痛みに苛まれていた。立ち上がるたびに走る激痛、階段を上る恐怖。好きだったテニス、家庭菜園や散歩も諦め、いつしか外出自体を控えるようになっていた。「この痛みと一生付き合うしかないのか」と、心まで暗く沈む日々だった。
転機が訪れたのは、意を決して受診した専門医での診断だった。医師から提案されたのは、一生痛みをこらえて生きていくか、「人工股関節置換術」を行って20年、30年痛みのない人生を送るかであった。手術への不安や恐怖心がなかったと言えば嘘になる。しかし、「もう一度自分の足で思い切り歩きたい」という強い思いが勝り、手術を決意した。
手術は無事に成功し、翌日からはリハビリが始まった。初めは身体にカテーテルや点滴のラインが付いているため車いすへ座るところから始まり、リハビリ室で一歩を踏み出した瞬間、目頭が熱くなった。あんなに私を苦しめていた「あの激痛」がないのだ。理学療法士の温かいサポートのもと、日に日に歩行距離は伸び、退院の日を迎えることができた。
術後2週間が経った現在、杖の助けは必要であるが、股関節の痛みのない生活がこれほど晴れやかで美しいものだとは、想像以上だった。今後、好きなテニス、家庭菜園、孫たちとの行楽や旅行を心から楽しめるようになり、かつての億劫だった気持ちが消え去ることだろう。
痛みに怯えず、自分の足で一歩を踏み出せる当たり前の日常。手術という決断は、私の人生に再び希望の光と「歩く喜び」を取り戻してくれた。
(T.O.)