スクープ!鷹の爪

ジェネリック医薬品業界で一体何が起きたのか!?
そして未来に何が起こるのか?鷹の爪団が導き出す真実とは?!目指せ大スクープ!

どうして品薄!? ジェネリックの今!

現在、すべての医薬品のうち、およそ60%といわれるジェネリック医薬品。そのジェネリック医薬品が品薄だということをご存じでしょうか?2020年に起こった一部のジェネリック医薬品メーカーの不適性事件。それ以来、操業を一時停止するメーカーや自主回収をするメーカーがあったため、市場に流通するジェネリック医薬品の総量が減ってしまいました。その総量が減った状態が、2022年の現在になっても続いているので、品薄になっているのです。一方で、ジェネリック医薬品を希望する患者さんは年々増えているのが実情。とある薬局では、処方されているジェネリック医薬品がない場合に、主成分が同じである別メーカーのジェネリック医薬品をお薦めする場合があるそうですが、やはり普段と違う医薬品を使うのは不安という患者さんの声もあるそうです。そもそも2020年に起こった一部のジェネリック医薬品メーカーの不適正事件とは、どのような事件なのでしょうか?そして、2年以上経過したいまも、供給が追いつかず、ジェネリック医薬品が品薄なのはどうしてなのでしょうか?次回はその不適正事件の内容と、ジェネリック医薬品メーカーの工場の現状と課題に迫ります!

用語解説① ジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品(後発医薬品)と言って、いわゆる特許が切れた新薬と同じ有効成分で作られた医薬品のことで、ジェネリック医薬品は開発費が抑えられるため、新薬より安価に同じ成分の薬を作りことが可能。ほかにもジェネリック医薬品の特長があるが、詳しい情報は日本ジェネリック製薬協会のホームページにも掲載している。

用語解説② 信頼回復の為の『5つのアクション』

患者及び医療関係者が「安心」して使用できる品質の担保されたジェネリック医薬品のみが安定的に市場に流通する状況を実現するためのアクション。 コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化 品質を最優先する体制の強化 安定確保への取組み 積極的な情報の提供と開示 その他、協会活動の充実、国等との連携

ジェネリック医薬品業界の取り組みジェネリックの今!

いよいよジェネリック医薬品工場に忍び込んだ週刊窓際の編集部員たちは、意外な光景を目の当たりにする。いや、入る前に薬師の倫さんに見つかったんですがね。クリーンルームを通され、工場を見渡すと、本当に見たことのない風景が。

医薬品製造レベルまでクリーンに除菌され高い空気圧に保持された空間内で働くのは、人間ではなく、ロボットやAI(人工知能)たちなのであった。

取材で明らかになったのは、(もちろんメーカー様のご厚意によるが)24時間体制でロボットたちが薬を作ったり、運搬したり、品質を点検していたりすること。さらに、それでも万全に万全を期して、人間による厳しい品質チェックを通過したものだけが、ジェネリック医薬品として流通しているということだ。さらに外部監査を受け入れるなど、この上ない厳しい基準が設けられている。

さてジェネリック医薬品が「いまだになぜ不足し続いているか」だが、ひとつの生産ラインにて多品種少量生産が行われている、という生産方法の特性に関わる事情があるそう。どのラインでどの薬をどれだけ作るか長期的なスケジュールが決まっているため、特定の薬が不足しているからといって、その薬だけの生産量をいきなり増やすのは難しいということだ。

ジェネリック医薬品業界の取り組みジェネリックの今!

工場見学を終えた一行は帰りの道すがら、製薬会社の社員さんと薬師の倫さんを交えて談笑していた。ところが、薬師の倫さんは急に様相を変え、「ジェネリック医薬品の未来」を真剣かつ滔々と語り出した。

「みなさんは、日本ジェネリック協会がホームページで公開している『日本がもし1000人の村だったら』という資料をご存知ですか?」

なかば呆気にとられながら、知っているのかどうかすら回答できない一同。その様子をみるや一瞥し、倫さんは話を続けた。主旨は以下のようである。

現行の保険医療制度のまま、人口減少社会である日本のなかで働き手が現在よりも少なくなるのは確実。実際、現行ひとりあたりの医療費は343,000円だが、毎年2.2%ずつ上昇している。15年後には計算上いまの約1.4倍。じつに476,000円にまで達すると見込まれている。

だが、この医療費のうち22%は薬代であり、ジェネリック医薬品を効果的に運用することで医療費の節約はもちろん、医療制度の維持にもつながる、と確信している。

もちろんジェネリック医薬品に対する信頼の回復は、一部のメーカーだけに限らず、業界全体の問題として捉え、その問題解決のためにはさまざまな努力をする必要があるんだ!

とガッツポーズし、空を見上げる倫さん(と一同)なのであった。

用語解説③ 多品種少量生産

ジェネリック医薬品は一つの生産ラインで、何種類もの薬を時間差で生産されており、どの生産ラインで、どの薬をどれだけ作るのかは、長期的なスケジュールで決まっていて、特定の薬が不足しているからと言って、急に増産することができない。供給不足の裏側には、そういう事情があるそうだ。

用語解説④ 医療費のうち22%が薬代

少子高齢化が進み、一人あたりの負担が毎年2.2%ずつ増えている現代社会。その医療費のうち22%が薬代なのである。ジェネリック医薬品ならば、今の医療水準を維持したまま、薬代を節約でき、個人の医療費節約だけじゃなく、国の医療制度を維持するためにも必要ということがわかった。