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長期収載品について

長期収載品について

 明確に定義されていないが、一般的には、再審査期間が終了しており、既に特許も切れている、後発医薬品(ジェネリック医薬品)のある先発医薬品を言う。薬価基準に長期間収載されていることから「長期収載品」といわれるようになった。

 国を挙げてのジェネリック医薬品使用推進策の結果、順調に、ジェネリック医薬品に置き換わったものもあるが、精神神経用薬のように、患者希望や、医療上の必要性から、置き換わらないものもあるのが現状である。

 その中で、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」(平成28年12月20日)において、
「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するため、革新的バイオ医薬品及びバイオシミラーの研究開発支援方策等の拡充を検討するとともに、ベンチャー企業への支援、後発医薬品企業の市場での競争促進を検討し、結論を得る。」とされたことを受けて、平成29年において、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)・薬価専門部会で議論を重ねて、平成30年度薬価改定で、以下のZ2、G1、G2、Cルールが定められている。

 引き下げ率はその後の薬価改定の度に、見直されたものもあり、令和5年度薬価改定における概要は下の図のとおりである。

<引用>
〇中医協・薬価専門部会(第195回)(令和4年12月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001024968.pdf

1 最初の後発品の新規収載後5年を経過し、10 年を経過しないもののうち、後発品置換え率が80%未満のものについての薬価引下げルール(Z2 ルール)
  該当する医薬品の中で、以下の物は、対象外とされている。(G1,G2でも同様のものが対象外とされている。)
 イ 日本薬局方収載医薬品(統一名収載品に限定。銘柄毎に薬価収載されているものを除く。)
 ロ 生物学的製剤(血液製剤を含む。)
 ハ 漢方製剤及び生薬
 ニ 希少疾病用医薬品であって、希少疾病以外の疾病に対する効能を有しない医薬品
 ホ 低薬価品の特例(基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価)が適用されるもの
 ヘ 後発品価格のうち最も低いものを下回る医薬品
  また、10年を経過していない場合でも、後発品置換え率80%以上のものについては、G1ルールを前倒しで適用することとされており、このルールの対象外となる。
  Z2の薬価の改定方式としては、本規定の適用前の価格に対して、次の各号に掲げる区分に従い当該各号に掲げる割合を乗じて得た額を引き下げる。ただし、改定後の後発品価格のうち最も高いものを引下げの下限とする。
 イ 後発品置換え率が60%未満 100 分の2
 ロ 後発品置換え率が60%以上80%未満 100 分の1.75

2 後発品収載後10 年を経過した長期収載品の後発品価格への引下げ
 ①G1ルール
  後発品への置換えが進んでいるもの(置換え率80%以上)(G1)に対しての引き下げルールは、G1品目に該当してから初めての薬価改定(令和5年度薬価改定を除く。以下、この①および②において同じ。)を受けるものが 後発品価格の加重平均値の2.5 倍とされ、更に2年ごとに、2.5 → 2.0 → 1.5 →1.0 倍と引き下げられ、6年目で後発品の加重平均と同額となる。

 ②G2ルール
  後発品への置換えが困難なもの(置換え率80%未満)(G2)についての引き下げルールは、G2品目に該当してから初めて薬価改定を受けるものは、後発品の加重平均値の2.5 倍とされ、更に2年ごとに、2.5 → 2.3 → 2.1 → 1.9 → 1.7 → 1.5倍と引き下げられる。後発品への置換え率が80%未満であり、長期収載品の必要性が大きいことから、G1の引き下げ率より緩く設定され、10年目においても、後発品の加重平均の1.5倍とされている。

 ③補完的な引下げ(C)
  後発品への置換えが困難なもののうち、G2ルールにより算定される額が、次に掲げるZ2ルール準用で定められる額を上回る品目については、このCルールとして、Z2と同じ引き下げ率を適用する。

 このように、長期収載品の薬価引き下げにより、後発品への置換えを図っている。
しかし、依然として、後発品よりも薬価が高い長期収載品の使用が継続しており、2019年の薬価調査からの推計では、全医薬品の中で、長期収載品は数量ベースで15%、薬剤費ベースで18%を占めている。

 それに対して、骨太の方針2023において、「医療保険財政の中で、こうしたイノベーションを推進するため、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進める。」とされて、社会保障審議会医療保険部
会で検討されているところであるが、後発品よりも薬価が高い長期収載品を使用する場合、後発品との薬価差について、患者負担を求める方向で、検討が進んでいる。

<参照>
〇第9回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001059083.pdf
〇経済財政運営と改革の基本方針 2023 について(骨太の方針2023)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2023/2023_basicpolicies_ja.pdf