EN

健康・暮らしに役立つ情報をお届け JGApedia

特別寄稿

全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 北海道支部

全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 北海道支部

 今回は、協会けんぽ北海道支部より、北海道支部の現状と課題、これまでの取組内容について紹介いた します。

1・北海道支部の現状

 北海道支部におけるジェネリック医薬品使用割合は着実に伸びているものの、都道府県別順位では2013年度8位、2014年度8位、2015年度9位、2016年度12位、2017年度13位、 2018年6月は13位となっており、その順位は年々下がっています。全国平均との差は、2013年度2.5ポイント、2014年度は2.3ポイント、2015年度2.4ポイント、2016年度1.8ポイント、2017年度1.9ポイント 、2018年6月1.7ポイントと、常に上回っていますが、その差は徐々に縮まっています【図表1】。

img-1.jpg

2・北海道支部の課題

◆ジェネリック医薬品取扱い優良薬局認定事業

 協会けんぽが独自に作成した「ジェネリックカルテ」(ジェネリック医薬品の使用における地域ごとの状況を「見える化」したもの)によると、北海道支部のジェネリック医薬品の使用促進を阻害している分野の一つは「一般名処方率」でした。2018年3月時点において全国平均を2.2ポイント下回っています【図表2】。
 このため、2018年11月に札幌市において医療機関事務担当者を対象としたセミナー(参加者175名)を開催し、北海道支部の一般名処方率の現状を説明し、理解を求めました。これまでに、医療機関の担当者より「一般名処方の意義は認識しているが、処方システムの入れ替えが必要なため時間を要する」との現状をお話しいただいたこともあり、医療機関でハード面の整備が必要な場合もあることから、一時的な周知によらず、今後も継続した広報が必要であると考えております。

img-2.jpg

3・これまでの北海道支部の主な取組

◆「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」通知の発行およびアンケート、関係団体への情報提供

 ジェネリック医薬品使用促進のため、協会けんぽのレセプトデータを集計し、地域におけるジェネリック医薬品使用割合等について情報提供する「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」通知の発行を2016年度から行っており、送付のほか機会をとらえて医療機関へ持参し説明を実施しています。2017年7月には、医療機関(663機関)に通知のほかアンケートも同封し、結果【図表3】等をとりまとめて関係団体へ情報提供しています。通知の内容以外で知りたいこととして、「薬の種類によってどの後発メーカーが使われているかのシェア」「ジェネリックが安心して使用できる製品のポジティブリスト」「後発品のある先発品で使用が多い薬剤」等、薬剤リストを挙げた医療機関が複数ありました。通知は2018年8月には2,131医療機関・2,201薬局に送付し、12月にも送付を予定しています。

img-3.jpg

◆ジェネリック医薬品使用割合の低い医療機関、高い医療機関に向けた文書送付およびアンケート、関係団体への情報提供
 2017年10月には、ジェネリック医薬品使用割合の低い医療機関(31機関)、高い医療機関(29機関)の区別を行い、それぞれに合った文書を送付してジェネリック医薬品の使用状況を示すとともに、使用が進まない事情や進んでいる要因をアンケートとして回答いただき、得られた情報【図表4・5】等をとりまとめて関係団体へ情報提供しています。具体的な低い事情としては「薬剤DIがない」「患者より効果に関する疑問と品質に関するクレームがある」、高い要因としては「病院の方針」「DPC機能評価係数に影響するため」との回答が複数ありました。

img-4.jpg

◆ジェネリック医薬品使用リストの公開
 これまでのアンケート結果にて、医薬品個別の使用状況について情報を求める意見があったため、北海道支部のレセプトデータを集計し、先発医薬品と先発医薬品に対応するジェネリック医薬品の処方数量等を掲載したリストを作成しました【図表6】。作成したリストは北海道支部ホームページにPDFファイル形式で公開し、あわせて2018年8月に発送の「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」通知内で、公開ページへの案内記事を掲載しました。医療機関および薬局において、ジェネリック医薬品の採用検討に活用さ
れることを企図しています。

img-5.jpg

◆北海道薬剤師会とWネームのジェネリック医薬品推奨ステッカー等の掲出依頼
 2018年11月、北海道薬剤師会と連名にて「ジェネリック医薬品推奨ステッカー」を作成し、北海道内の後発医薬品体制加算薬局(1,497薬局)へ、来訪される患者の目に留まる場所への掲出依頼をしました。また、協会けんぽの2018年4月時点のデータにおいて、「ジェネリック医薬品の使用割合について、2020年9月末までに80%以上」の政府目標を既に達成している薬局(1,194薬局)に対し、北海道薬剤師会と連名で作成した「認定書」も送付しました。ステッカーについては、後発医薬品体制加算の施設基準(後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示する)を満たすことを厚生局へ確認済みであることも案内し、より多くの薬局に掲示いただくこと、それにより多くの患者の目に留まることを期待しています。

img-6.jpg

4. 今後の取組について

 北海道支部においては「ジェネリック医薬品の使用割合について2020年9月末までに80%以上」の政府目標を早期に達成するため、各種アンケート等で得られる情報を活用しながら、これまでの主な取組を継続し、また、使用促進においてポイントとなる「一般名処方率」について、今後も機会をとらえて医療機関や関係機関に理解協力を求めていきたいと考えています。

JGAニュースNo.128(2019年12月号)

関連記事RECOMMEND

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 沖縄支部

    全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 沖縄支部

    記事を読む
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 長野支部

    全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 長野支部

    記事を読む
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 滋賀支部

    全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 滋賀支部

    記事を読む