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【Factに迫る!】『人的資本経営』について

【Factに迫る!】『人的資本経営』について
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【Factに迫る!】『人的資本経営』について
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Factに迫る!「人的資本経営」ーリスキリングー - YouTube


現在、新型コロナウイルス禍などのVUCA時代において、働き方改革を含めた人材戦略のあり方が問われています。この5月、経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会」報告書『人材版伊藤レポート2.0』が発表されました。

今回、人的資本経営について『人材版伊藤レポート2.0』の概要と、伊藤レポート2.0で触れている『リスキリング』の2つの切り口にて紹介いたします。

1. 人的資本経営『人材版伊藤レポート2.0』の概要

『人材版伊藤レポート2.0』は、「人的資本」の重要性を認識するとともに、人的資本経営という変革を、どう具現化し、実践に移していくかを主眼とし、それに有用となるアイデアを提示するものとなります。
当レポートでは経営陣が主導して策定・実行する、経営戦略と連動した人材戦略について3つの視点(Perspectives)と5つの共通要素(Common Factors)を示しています。(図1)

 

(図1)著者作図 
引用:経済産業省 令和4年5月 人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~

 

『3つの視点』として【視点1】経営戦略と人材戦略の連動、【視点2】As is-To beギャップの定量把握、【視点3】企業文化の定着 を示しています。

 

【視点1】人材戦略の検討にあたって経営陣が主導し、経営戦略とのつながりを意識しながら、重要な人材面の課題について、具体的なアクションやKPIを考えることが求められています。
【視点2】経営戦略実現の障害となる人材面の課題を特定した上で、課題ごとにKPIを用いて、目指すべき姿(To be)の設定と現在の姿(As is)とのギャップの把握を行うこと。いわゆる、組織の現状と存在意義(パーパス)との解離をエンゲージメントサーベイ等によってあぶり出し、得られた解離(ギャップ)を埋める取組を継続していくことが求められています。
【視点3】持続的な企業価値の向上につながる企業文化は与えられたものではなく、人財戦略の実行を通じて醸成されるもの。そのために人材戦略を策定する段階から、目指す企業文化、存在意義(パーパス)を見据えることが重要であるとしています。

 

『5つの共通要素』としては、要素①「動的な人材ポートフォリオ」、要素②「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」、要素③「リスキル・学び直し」、要素④「社員エンゲージメント」、要素⑤「時間や場所にとらわれない働き方」 となります。
②③④は「個人・組織の活性化」として重要です。

 

【要素①】「動的な人材ポートフォリオ」
目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築できているか。
【要素②】「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」
個々人の多様性が、対話やイノベーション、事業のアウトプット・アウトカムにつながる環境にあるのか。
【要素③】「リスキル・学び直し」
目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めているか。
社員が将来を見据えて自律的にキャリアを形成できるよう、学び直しを積極的に支援する。
【要素④】「社員エンゲージメント」
多様な個人が主体的、意欲的に取り組めているか。
企業や事業の成長と多様な個人の成長の方向性を一致させていく必要がある。
【要素⑤】「時間や場所にとらわれない働き方」
新型コロナウイルス感染症への対応の中で、更に明確になった時間や場所にとらわれない働き方、そしてマネジメントのあり方や、業務プロセスの見直しを含め、組織としてどう対応できるかが重要。

 

『伊藤レポート』の更なる概要・詳細は次回以降のコラムにゆずり、今回は「個人・組織の活性化」で重要である、要素③「リスキル・学び直し」に関連して『リスキリング』として事項で紹介いたします。

2. 『リスキリング』

リスキリングとは働き方の多様化やデジタルトランスフォーメーション(DX)などの技術の進展による産業構造の変化によって、今後新たに発生する業種や職種に順応するための知識やスキルを習得することです。

世界では企業や国が生き残りをかけて、多額の投資をつぎこむ人材戦略となりつつあります。コロナ後の日本においても企業存続のカギはリスキリングと云われています。(図2)

 

(図2)著者作図
引用:第一生命経済研究所ビジネス環境レポート2021.8 Compass for SDGs&Society5.0

 

リスキリングの推進のためのカギとなるのは
①未来予想図などのキャリアデザインシートを活用し、現在のスキルを棚卸しし、今後の新しい職務で必要となるスキルとのギャップを把握する(スキルギャップのみえる化)
②組織にとって重要性の高いスキル保有者を評価し、給与アップする制度(スキルの評価)
③資格取得のための資金援助や学んだスキルを組織ですぐに実践できる仕組み(自律的な学びの支援)です。

その上で企業が目指す方向性に裏打ちされたリスキリングによって、社員が目標とする「ありたい姿」とマッチングすることでやりがい・生きがいを持ちながら、長期的なビジョンを描き、持続的・自律的な学びにつなげていくことが理想です。

このようなリスキリングを契機とした学び続ける仕組みを、個人、企業、国が三位一体となって推進し、成長につなげていくことが重要です。
そして、リスキリングにより付加価値や生産性も高めることは、個人の成長・スキルアップにつながり、キャリアを築くことで個人の市場価値を高めることにもなります。

3. まとめ

以上のように、リスキリング含めた人的資本経営は、VUCA時代の企業・個人にとって、看過できない喫緊のマネジメントです。                                           
医薬品・医療機器企業は今後、リスキリングを含めた人的資本経営を実践するなかで、個人も組織も市場価値をアップし、戦略的に未来の価値を創造し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。

 

2022年6月
文責:ニプロ株式会社 学術情報部 山口博人(日本FP協会会員AFP)

参考情報
◯経済産業省 令和4年5月 人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220601.html
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220510.html
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220325.html
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220120.html