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【Factに迫る!】『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について

【Factに迫る!】『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について
目次

【Factに迫る!】『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について
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2023年ノーベル経済学賞は、人的資本に関連する、ダイバーシティ&インクルージョン、ジェンダー格差が注目されるなか、長年 男女間格差等を研究してきた、米ハーバード大クラウディア・ゴールディン教授が受賞しました。

また、2023年ノーベル生理学・医学賞は、新型コロナウイルスワクチンの基盤技術である「メッセンジャーRNA」(mRNA)の研究に取り組んだ、米ペンシルベニア大カタリン・カリコ特任教授、ドリュー・ワイスマン教授が受賞しました。
今回、2023年ノーベル経済学賞とノーベル生理学・医学賞について紹介いたします。

① 『2023年ノーベル経済学賞』

ゴールディン教授のノーベル経済学賞の受賞理由は「女性の就労や賃金の変遷について経済学的理解を深めたこと」です。

 

(図1)著者作図
引用:日本経済新聞2023年10月11日朝刊、2023年10月20日朝刊

ゴールディン教授は歴史的なデータを精緻に分析し、男女間の賃金格差を生じる要因を解明した研究が評価されました。
米ビジネススクール卒業の男女の在籍中の成績と卒業後のキャリアを追跡調査した研究では、同じ能力を持ち、同じ職業に就いても、子の誕生を境に男女の賃金格差が拡大することを実証しました。
これは、まさに「母親ペナルティ」「チャイルドペナルティ」であり、先進国をはじめ、日本でも起こっている現象です。
この研究により、日本では、男性中心の長時間労働を是正したり、男性に育児休暇を付与したりする政策を導入する根拠の一つとなっています。

そして、ゴールディン教授は、この男女間賃金格差*を是正するカギとして、業務を属人化させない、男女を問わず勤務時間を調整しやすい柔軟性(フレキシビリティー)、そして制約のある時間内でも能力が発揮でき、それが評価されることとしています。

このことは、これからのビジネスパーソンに大きな示唆を与えるものと考えます。

ビジネスパーソンが、ワークライフバランスを意識しながら、スキルを活かして、高い生産性の業務を推進することで、やりがいを持ってウェルビーイングに自分らしく生きることに繋がるのではないでしょうか。

*「男女間賃金格差」は2023年3月期の有価証券報告書から企業の開示義務になっています

② 『2023年ノーベル生理学・医学賞』

「2023年ノーベル生理学・医学賞」について紹介いたします。
カリコ特任教授、ワイスマン教授のノーベル生理学・医学賞の受賞理由は「新型コロナ感染から世界中の何百万人もの命を救った」ことです。

 

(図2)著者作図
引用:読売新聞2023年10月8日朝刊

mRNAは細胞内に存在する遺伝物質でタンパク質を組み立てる設計図です。4種類の塩基という物質がひも状につらなった構造で、塩基の組み合わせ次第で様々なタンパク質を作ることができます。
人工合成したmRNAは、従来、ヒトの体内では壊れやすく、体内に入ると過剰な免疫反応が起きるという課題がありました。

カリコ博士らはmRNAの塩基の一つ「ウリジン」を「シュードウリジン」に置き換えるとmRNAが安定化することを発見しました。
この発見が新型コロナウイルスワクチンの創製に繋がりました。

このmRNAの安定化には、昨年10月に81歳で死去された、日本人のRNA研究者である元新潟薬科大学客員教授 古市泰宏博士の功績があります。
古市博士は1975年、自然界のmRNAには先端に帽子(cap)のような構造があることを発見しました。この発見も、mRNAを安定化する技術としてコロナワクチン開発の重要な功績とされています。
この功績も、カリコ博士と並ぶノーベル賞候補として再評価されていました。

ちなみに、現在、このキャップ(cap)構造をターゲットとして創薬されたインフルエンザウイルス治療薬が上市されていることも古市博士の功績と云えます。

カリコ博士も古市博士も、決して順風満帆に研究してきたわけではなく、両博士各々の回想録によれば、時に困難に直面したことがありました。
そして、両博士の「サイエンスイノベーション」は、偶然性や柔軟性が研究に寄与・貢献したと云われています。

我々、ビジネスパーソンも偶然性や柔軟性が重要なプランドハップンスタンス理論*等により、未来のキャリアを創造していければと考えます。

*既寄稿『人的資本経営(パート2)』(2022.8.1)「キャリアディベロップメント」
「プランドハップンスタンス」参照

③ 最後に

生命関連企業である製薬業界においても、各企業は「男女間賃金格差の是正」や「サイエンスイノベーション」を鑑み、人的資本経営を推進していくべきと考えます。
これは、企業の存続、企業価値に関わる重要な課題です。

医薬品・医療機器企業はこれから、「2023年ノーベル賞」の成果である「男女間賃金格差の是正」や「サイエンスイノベーション」を戦略的に活用し、自社を「トランスフォーメーション」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。

 

2023年11月
       文責:ニプロ株式会社 山口博人(日本FP協会会員AFP)

参考情報
リスキリング(鳥の目、虫の目、魚の目)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/231101.html
『三位一体の労働市場改革』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/231002.html
『女性活躍推進』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230901.html
『次世代育成支援対策』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230801.html
『AI戦略』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230703.html
◯『PBR革命』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230601.html
◯『日本版ジョブ型』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230501.html
◯『Society5.0』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230403.html
◯『ウェルビーイング・マーケティング』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230301.html
◯『サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230201.html
◯『インパクト加重会計』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230105.html
◯『KPI経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221201.html
◯『価値創造経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221101.html
◯『ムーンショット経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221003.html
◯『人的資本経営(パート3)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220901.html
◯『人的資本経営(パート2)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220801.html
◯『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220701.html
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220601.html
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220510.html
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220325.html
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220120.html