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GE薬協コラム

【Factに迫る!】「レジリエンス」について

【Factに迫る!】「レジリエンス」について
目次

【Factに迫る!】『レジリエンス』について

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前回、『非認知能力』(2023.04.01)について紹介いたしました。
 
前回の読者の反響から、「非認知能力」のうち「レジリエンス」について、スポットを当ててみます。
今回、「企業のレジリエンス」と「個人のレジリエンス」について紹介します。

①「企業のレジリエンス」

2023年経済産業省は「レジリエンス社会の実現に向けた産業政策研究会」にて、目指すべき「レジリエントな対応」の構成要素について提唱しています。(図1)
 
企業のレジリエンス(BCP)
(図1)著者作図
引用:経済産業省 「レジリエンス社会の実現に向けた産業政策研究会」2023年
 
地震やコロナ感染症の蔓延等の災害に備えて、国内外のレジリエンスの定義には、状況の変化に対する回復力・適応力という要素が存在しています。その要素はさらに「被害の最小化」と「回復の迅速化」に分解することができます。

被害の最小化は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したシミュレーションによる「予防」、位置情報等の活用による「応急」、被災リスクの覚知システムの導入による「復旧・復興」に分けられます。

回復の迅速化は、サプライチェーンの災害リスク対応による「予防」、代替調達先への迅速な切替えによる「応急」、受入物資管理の円滑化による「復旧・復興」に分けられます。

この被害の最小化と回復の迅速化により、通常の回復速度(青線)より、レジリエントな状態における回復速度(橙線)へと改善することが可能になります。

企業は平時からBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)を策定し、有事に備えることが求められています。特に、社会のインフラである製薬企業は経済安全保障の観点からもレジリエンス力が必要になるのではないでしょうか。このレジリエンス力が企業価値向上に繋がると云えます。

②「個人のレジリエンス」

広島県「生徒指導資料No.36」では、生徒のレジリエンスを鍛える3つのステージと7つの技術を紹介しています。(図2)
 
レジリエンス(個人)
(図2)著者作図
引用:広島県 生徒指導要領No.36
 
 
第1ステージは、「ネガティブ感情に対処する」その技術として
 第1は、ネガティブ感情の悪循環から脱出する。
 第2は、役に立たない「思い込み」を手なずける。

第2ステージは、「レジリエンス・マッスルを鍛える」その技術として
 第3は、「やればできる!」という自信を科学的に身に付ける。
 第4は、自分の「強み」を活かす。
 第5は、こころの支えとなる「サポーター」をつくる。
 第6は、「感謝」のポジティブ感情を高める。

第3ステージは、「逆境体験を教訓化する」その技術として
 第7は、痛い体験から意味を学ぶ。

これらのことは、我々ビジネスパーソンにとってもレジリエンス力を高めるために参考になるのではないでしょうか。

レジリエンスの高いビジネスパーソンは、自分をよく知っていることが明らかになっています。自分の強みが何であり、それが何によって引き出されるか、何を強く信じているかをよく自覚しています。

前回の「非認知能力」でも触れましたが、勉強ができるという一つの軸しかないと学校の成績、偏差値という他者との比較になってしまいますが、レジリエンス力やコミュニケーション力、謙虚さ、熱意などの異なる軸に多く触れることによって「自分の軸を持てば良い」と気が付ける可能性が高まります。

自分らしく生きていける、「自分の軸」を持つことも大切です。
それが自分の強みにもなります。
これは、「レジリエンス・マッスルを鍛える」の、自分の強みを活かすことにも繋がります。

マーケティング*におけるポジショニングマップでは、ある意味、自分に都合の良い軸を創り、
自分自身をポジショニング(居場所を確保)することも可能です。**

何が起こるか予想しづらいVUCA時代のエクセレントビジネスパーソンは、「非認知能力」で
あるレジリエンス力も伸ばし、「ありたい姿」である未来の価値を創造し、自分らしく生きられる「ウェルビーイング」を目指すことが大切と考えます。
 
*既寄稿『ウェルビーイング・マーケティング』参照
**既寄稿『サステナビリティ・トランスフォーメーション』「プロティアン・キャリア」参照

③最後に

医薬品・医療機器企業はこれから、「レジリエンス力」を戦略的に活用し、自社を「トランスフォーメーション」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。
 
2024年4月
文責:ニプロ株式会社 山口博人(日本FP協会会員AFP)
 
参考情報
〇『非認知能力』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『ファイナンシャル・ウェルビーイング』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『イノベーションと無形資産』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『非財務情報可視化』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『リスキリング(鳥の目、虫の目、魚の目)』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『三位一体の労働市場改革』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『女性活躍推進』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『次世代育成支援対策』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『AI戦略』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『PBR革命』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『日本版ジョブ型』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『Society5.0』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ウェルビーイング・マーケティング』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『インパクト加重会計』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『KPI経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『価値創造経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ムーンショット経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221003.html
◯『人的資本経営(パート3)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『人的資本経営(パート2)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia